以下、論文紹介と解説です。

Hon KL, et al. Emollient Acceptability in Childhood Atopic Dermatitis: Not All Emollients are Equal. Current pediatric reviews 2018; 14:117-22.

アトピー性皮膚炎患児 128人に関し、保湿剤の忍容性がアトピー性皮膚炎のさまざまな因子に影響するかを検討した。

背景

■ 湿疹またはアトピー性皮膚炎(Atopic Dermatitis; AD)は生活の質を傷害する一般的な慢性再発性の皮膚疾患である。

■ モイスチャライザー/エモリエントの定期的な使用が管理の中心であるが、エモリエントの忍容性はしばしば最適に達しない。

■ そこで、エモリエントの忍容性がADにおける種々の臨床因子に影響されるかを検討した。

 

方法

■ エモリエントの使用頻度、ブランド、疾患重症度(ノッティンガム湿疹重症度スコア; Nottingham Eczema Severity Score, NESS [NESS])を含む臨床的な要因、生活の質(Children Dermatology Life Quality Index, CDLQI)、経皮的水分蒸散量(Transpidermal Water Loss; TEWL)、皮膚水分量(Skin Hydration; SH)について調査した。

■ 忍容性は非常に良好、良好、中程度、不良に分類された。

 

結果

■ AD患者128人を評価した。

■ NESSは、CDLQIやCDLQIの治療分野と相関した。

■ エモリエントの使用はAD治療の基本である。

■ 患者の89.1%は、エモリエントを選択する際の主な情報源は医師の推奨であると報告した。

■ 親水軟膏(Aqueous cream; AQ)やワセリン由来製品は、一般的に使用されるエモリエントだった。

■ 親水軟膏の使用者は、中等度/不良の忍容性(p=0.017)であり、SH低値(p<0.05)をより多く報告した。

■ 線形回帰は、エモリエントの忍容性を中程度または不良と考えた患者は、AQを使用しており(p=0.003)、医師により推奨されていないエモリエントを使用しており(p=0.035)、より重症度が高く(p=0.04)、冬のエモリエント使用が少なかった(p=0.05)ことを示唆した。

 

結論

医師は、患者が受け入れて一貫して使用するエモリエントを選択することを支援するために、重要な役割を果たす

■ 試験したエモリエントは、一般に80%を超える患者に受け入れられた。

■ しかし、親水軟膏は患者にとって受け入れがたいものであり、患者に推奨するエモリエントとしては最も好ましくない

 

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保湿剤を時期ごとに使い分ける方法を、外来ごとに指示する必要性があるが、なかなかその選択は悩ましい。

Aqueous cream(親水軟膏)は日本ではあまり使われていないと思われますが、海外では一般的な外用保湿剤のようです。

■ そして、「推奨されない」外用としてよく論文には顔を出します。

■ とはいえ、親水軟膏はあまり日本では使っていませんし参考にはしにくいです。

■ もちろん、「べたべたしない」がいいわけではありませんし、季節ごと、重症度ごとに「べたべたした」保湿も選択せざるを得ないケースも少なからずあります。

■ そのため、保湿剤の選択は状況ごとに変更する必要性があり、その選択は悩ましい場合もあります。

 

今日のまとめ!

 ✅ 保湿剤の選択は、状況で変更する必要性があり、忍容性により悪化する可能性がある。

 

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