以下、論文紹介と解説です。

Olsen JR, et al. Molluscum contagiosum and associations with atopic eczema in children: a retrospective longitudinal study in primary care. Br J Gen Pract 2016; 66:e53-e8. PMID: 26639950

2004年から2013年までのUK Clinical Practice Research Datalinkにある二つの症例コホートを用いて、アトピー性皮膚炎の既往が伝染性軟属腫を発症するリスクを増加させるかを確認した。

背景

伝染性軟属腫(Molluscum contagiosum;MC)は小児における一般的な皮膚疾患である。

■ プライマリケアにおける診察率と現在の処置、これらが時間の経過とともにどのように変化したかについてはあまり述べられてこなかった。

アトピー性皮膚炎(atopic eczema; AE)の存在とMCとの関連が示されているが、AEの診断を受けた小児におけるMC発症のその後のリスクは不明である。

 

目的

■ 英国の一般診療におけるMCの受診率と管理を経時的に述べ、AEの病歴が小児期にMCを発症するリスクを増加させるという仮説を検証する。

 

試験デザインとセッティング

■ MC症例の後ろ向き縦断的研究と、年齢・性別をマッチさせたAE症例の症例コホート研究二つの研究が報告されており、それらは両方とも、2004年から2013年までUK Clinical Practice Research Datalinkに保管されていた。

 

方法

■ 0歳から14歳までの小児について記録されたすべてのMCとAEのプライマリケアへの受診データを収集し、これらのデータを用いて二種類の主要な分析を行った。

■ すなわち、後ろ向き縦断的分析と年齢‐性別をマッチさせたケースコホート分析である。

 

結果

0~14歳の小児のプライマリケアにおけるMCに関する受診率は、1000人当たり9.5(95%CI 9.4~9.6)であった。

■ 男女とも、1~4歳と5~9歳の小児が最も受診率が高かった(1000人当たりそれぞれ13.1~13.0人(男児)および13.0~13.9人(女児))。

MCの受診率は2004年から2013年までに50%低下しており、小児は以前にGPにAEに関して受診したことがあればMCの受診をする可能性が高かった(OR 1.13;95% CI=1.11~1.16;P<0.005)

 

結論

■ プライマリケアにおけるMCによる受診は、特に1~9歳で一般的であるが、それらは研究中の10年間で有意に減少した。

■ プライマリケアにおいてAEを診断すると、その後のMCによるプライマリケアにおける診断の増加と関連する。

 

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アトピー性皮膚炎は、伝染性軟属腫の発症リスクになる。

■ この報告は、アトピー性皮膚炎があると伝染性軟属腫(水いぼ)を発症しやすくなるという報告です。

■ ただ、アトピー性皮膚炎を適切に治療すると伝染性軟属腫を発症しにくくなる、もしくはアトピー性皮膚炎のある児の伝染性軟属腫が早く良くなるかは明らかであるとはいえません。

■ でも、アトピー性皮膚炎があると伝染性軟属腫が拡大することが多いのは、臨床的な経験上は確かだろうなと思います。

伝染性軟属腫があり、「経過観察する場合」は特に、適切なスキンケア指導が必要だろうと思います。

 

今日のまとめ!

 ✅ アトピー性皮膚炎は、伝染性軟属腫の発症リスクになる。

 

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