以下、論文紹介と解説です。

Ishimaru N, et al. Kikyo-to vs. Placebo on Sore Throat Associated with Acute Upper Respiratory Tract Infection: A Randomized Controlled Trial. Internal Medicine 2019:2748-19.

急性上気道感染症に伴う咽頭痛のある患者70人を桔梗湯群とプラセボ群にランダム化し、桔梗湯の内服10分後の咽頭痛への有効性を検討した。

目的

桔梗湯(Kikyo-to; KKT)はカンゾウエキスとキキョウエキスの一定の配合薬である。

急性上気道感染症(upper respiratory tract infection; URTI)に伴う咽頭痛を緩和するために日本では伝統的に使用されている漢方薬である。

■ しかし、その効果を示したランダム化比較試験はまだない。

■ そこで、急性URTIに伴う咽頭痛に対するKKTの有効性を検討した。

 

方法

■ 2017年12月から2018年5月の間に明石医療センター病院総合診療部においてURTIと診断された咽頭痛患者を登録した。

■ 参加者はKKTまたはプラセボのいずれかの2.5 gを処方のため、年齢と視覚アナログスケール(VAS)による咽頭痛スコアによる層別化により1:1の割合でランダム化された。

■ 参加者および研究者には、群の割り当てを盲検化された。

プライマリアウトカムはKKT投与10分後のVASによる咽頭痛スコアの変化だった。

セカンダリアウトカムは投与10分後の、咽頭痛による日常生活への影響だった(なし、軽度、中等度、重度)

 

結果

■ 35人を各群に割り当てた(計70人)。

両群間における10分以内のVASによる咽頭痛スコアの変化の差の平均は統計的に有意ではなかった(KKT 14.4 vsプラセボ17.0;p=0.39)

日常生活に及ぼす咽頭痛の影響が中等度以上の患者の割合も、群間で有意差はなかった(KKT 22.9% vsプラセボ40.0%;p=0.2)

■ 患者は副作用を報告しなかった。

 

結論

■ KKTは、プラセボと比較し急性URTIに関連する咽頭痛を有意に軽減しなかった。

 

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「桔梗湯は有効ではない」と結論されているものの、、

■ 「有効ではない」と結論されているものの、日常生活に及ぼす中等症以上の咽頭痛が桔梗湯群 22.9%(35人中8人) vsプラセボ群 40.0%(35人中14人)(p=0.2)をみると、効果があるようにも見えます。すなわち検討された例数が少なくて有意差が検出されていないような印象を持ちますが、、、

■ 咽頭痛に対して他の有効性を示す薬剤が見当たらない以上、まだ「有効性が示されないので桔梗湯を使用しない」にはならないかもしれません。

 

今日のまとめ!

 ✅ 70人のランダム化比較試験では、桔梗湯は咽頭痛に対する有効性が示されなかったものの、今後の検討は必要そうだ。

 

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