以下、論文紹介と解説です。

Hanna D, et al. A prospective randomized trial comparing the efficacy and adverse effects of four recognized treatments of molluscum contagiosum in children. Pediatr Dermatol 2006; 23:574-9.

1歳から18歳までの小児124人の伝染性軟属腫(水いぼ)に対し、①摘除術、②カンタリジン、③サリチル酸+グリコール酸の併用、④イミキモドの、4種類の治療を比較するランダム化比較試験を実施し、有効性を比較した。

背景

■ 伝染性軟属腫は小児期によくみられるウイルス性疾患であり、小さくて硬い、ドーム状の丘疹を呈する。

■ 良性であり、一般的にはself‐limitedな疾患だが、この疾患は伝染性であり、炎症、かゆみ、皮膚炎、細菌の重複感染、瘢痕といった合併症を引き起こす可能性がある。

■ この疾患の管理に関するコンセンサスは確立されていない。

 

方法

■ そこで、1歳から18歳までの小児124人における伝染性軟属腫に対し、4種類の一般的治療を比較する前向きランダム化比較試験を実施した。

■ 1群は摘除術、2群はカンタリジン、3群はサリチル酸+グリコール酸の併用、4群はイミキモドで治療された。

 

結果

■ 軟属腫治療のために、それぞれ1回、2回、3回の来院を必要とした患者は、摘除術では80.6%・16.1%・3.2%、カンタリジンでは 36.7%・ 43.3%・ 20.0%、サリチル酸+グリコール酸では53.6%・ 46.4%・0%、イミキモドでは 55.2%・41.4%・3.4%だった。

副作用の発現率は、1群 4.7%、2群18.6%、3群53.5%、4群23.3%であり、いずれも摘除術が最も有効であり副作用発現率が最も低かった

■ 摘除術は適切な麻酔で行わなければならず、時間のかかる手順である。

■ カンタリジンは特にクリニックの環境において有用な非観血的な代替治療薬であるが、水疱による中等度の合併症があり、我々の検討ではより多くの受診を必要とした。

■ 使用した角質溶解外用薬は、小児には刺激が強すぎた。

■ イミキモド外用薬は有望であるが、最適な治療スケジュールはまだ決定されていない。

 

結論

■ 最後に、軟属腫に対する最適な治療は、個々の患者の好み、恐れ、財政状態、クリニックからの距離、皮膚炎、血液感染症の有無に依存すると考えられる。

 

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伝染性軟属腫(水いぼ)の治療は、摘除以外にもいくつか提示されるものがありますが、現状では標準的といえるものはない。

個人的には摘除を優先していますが、もちろん、いつ頃軽快するのかという予後を共有した上で(1年で半数/半数で半数などさまざまですが)、スキンケアを十分指導した上での経過観察も一つの方法です。

■ 何度か繰り返していますが、「摘除が一番良い」と言いたいわけではなく、予後を共有した上で治療選択する必要性があります。

■ サリチル酸は皮膚科ではときどき行われているという印象ですが、この研究結果からはやや刺激が強い印象でした。

 

今日のまとめ!

 ✅ 伝染性軟属腫(水いぼ)に対し、①摘除術、②カンタリジン、③サリチル酸+グリコール酸の併用、④イミキモドのなかでは、摘除術が最も有効であり副作用発現率が最も低かった。

 

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