以下、論文紹介と解説です。

von Kobyletzki LB, et al. Eczema in early childhood is strongly associated with the development of asthma and rhinitis in a prospective cohort. BMC Dermatol 2012; 12:11.

1~2歳の小児3,124人に関し、アトピー性皮膚炎が5年後の喘息・鼻炎のリスクに繋がるかを調査した。

背景

■ 本研究の目的は、幼児期のアトピー性皮膚炎と小児期後期の喘息、鼻炎の発症の関連を推定することだった。

 

方法

■ 2000年の Dampness in Building and Health(DBH)研究の1~2歳の小児計3,124人が対象となった。

■ International Study of Asthma and Allergies in Childhoodプロトコルに基づく親へのアンケート調査により、5年後にフォローされた。

■ 乳幼児期のアトピー性皮膚炎とその後の喘息や鼻炎の発症率との関連は、単変量および多変量ロジスティック回帰モデルにより推定した。

 

結果

1~2歳の小児におけるアトピー性皮膚炎の有病率は試験開始時17.6%だった。

■ アトピー性皮膚炎のある小児は、アトピー性皮膚炎のない小児と比較して、経過観察時に喘息を発症する確率が3倍高く (調整オッズ比 [adjusted odds ratio ;aOR] 3.07; 95%信頼区間[CI] 1.79-5.27)鼻炎を発症する確率が3倍近く高かった (aOR, 2.63; 1.85-3.73)(年齢、性別、親のアレルギー疾患、親の喫煙、授乳期間、居住地、ポリ塩化ビニルフローリング、併発するアレルギー疾患で調整)。

■ アトピー性皮膚炎をサブグループに分けると、中等症・重症のアトピー性皮膚炎 (それぞれaOR 3.56; 1.62-7.83 および aOR, 3.87; 2.37-6.33)、さらにアトピー性皮膚炎の早期発症 (それぞれaOR 3.44; 1.94-6.09 および aOR, 4.05; 2.82-5.81)、さらにアトピー性皮膚炎の持続 (それぞれaOR, 5.16; 2.62-10.18 および aOR, 4.00; 2.53-6.22)はさらに、喘息や鼻炎を発症する確率を増加させた。

■ 喘息発症の確率を増加させる独立したその他の危険因子は、アレルギー疾患の親の病歴 (aOR, 1.83; 1.29-2.60) 、6か月未満の授乳期間 (aOR, 1.57; 1.03-2.39)だった。

■ 鼻炎の発症率は、親のアレルギー性疾患の病歴(aOR, 2.00; 1.59-2.51) や、ポリ塩化ビニルフローリング(aOR, 1.60; 1.02-2.51)に対して増加した。

 

結論

乳児期のアトピー性皮膚炎はその後5年間の喘息や鼻炎の発症と関連しており、アトピー性皮膚炎は最も強力な危険因子の1つだった。

■ 早期の特定はアトピーマーチの予測に有用である。

 

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乳児期のアトピー性皮膚炎は、その後の喘息・アレルギー性鼻炎のリスクをあげる。

■ やや古いコホートですが、引用されることの多い報告です。

■ アトピー性皮膚炎がその後の喘息・鼻炎の発症リスクをあげ、さらに重症であるほど、早期に発症するほど、持続するほど、そのリスクをあげることが示唆されます。

■ ひとつ気になったのが母乳期間になりますが、この項目は、別の「介入研究」で長期間みていくとその影響は消えるとしているものが多いようです。

 

今日のまとめ!

 ✅ 1~2歳時のアトピー性皮膚炎が5歳時の喘息・鼻炎の発症リスクをあげ、さらに重症であるほど、早期に発症するほど、持続するほど、そのリスクをあげることが示唆される。

 

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