以下、論文紹介と解説です。

Kujansuu E, et al. Exposure to sewage water and the development of allergic manifestations in Finnish children. Pediatr Allergy Immunol 2019. [Epub ahead of print]

汚水が飲料水に混入する事故があったフィンランドのある町において、その後の感作やアレルギー疾患発症との関連を検討した。

背景

■ 衛生仮説は、微生物にさらされることが少なくなることでアレルギーのリスクが増加することを示唆する。

■ フィンランドのノキアでは、汚水が誤って飲料水に2日間混入した。

■ そこで、小児に対する(汚水の)曝露とアレルギーの発症との関連性を検討した。

 

方法

■ 汚水混入事故地域に住む2~5歳の小児と、対照自治体から年齢が一致する集団をリクルートした。

■ アンケートに基づき、汚染した水に曝露された小児139人を特定し、それらと年齢と性がマッチした対照を選択した(事故発生時の平均年齢16.59ヶ月)。

■ アレルギー症状と疾患をISAAC質問票により記録し、皮膚プリックテスト(skin prick test; SPT)を事故の2年と5年後に実施した。

 

結果

■ 5年間の追跡でのSPT陽性は、1歳未満に汚水に曝露された小児 で、特に曝露時に胃腸炎を発症しなかった小児で低下した(OR 0.311; 95% CI 0.118~0.820; P=0.019)

■ 対照的に、曝露時に1歳以上の小児は、追跡5年後にSPT陽性になる傾向があった(OR 1.997; 95% CI 0.963~4.143; P=0.07)

 

結論

■ 生後1歳までの汚水への曝露はIgE感作のリスクを低下させ、修飾因子としての年齢の重要性を強調した。

■ 曝露時の胃腸炎の存在によるIgE感作が調整されることは、微生物負荷の性質が重要であるか、もしくは感染やアレルギー感作から保護する共通の宿主防御機構があることを示唆する。

 

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衛生仮説の大規模な報告にはなるが、、、

■ 胃腸炎の発生は数千人におよんだ極めて大規模な事故だったようです。

■ そこまでの状況になってなお、衛生仮説に合致する曝露は、「胃腸炎がなく」「1歳未満」である必要があることになります。

■ 乳児期の胃腸炎が大規模にアウトブレイクする、、考えただけでもぞっとする話です。

■ 後日、この報告に関しては詳しく解説したいと思っています。

 

今日のまとめ!

 ✅ フィンランドにおける汚水混入事件におけるフォローアップ研究において、「胃腸炎がなく」「1歳未満」に汚水に曝露されることで感作率が下がる可能性が示唆された。条件によっては感作率はあがる可能性も示唆された。

 

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