以下、論文紹介と解説です。
Fetil E, et al. Effects of some emollients on the transmission of ultraviolet. Photodermatol Photoimmunol Photomed 2006; 22:137-40.
ボランティア32例に、白色ワセリン、基剤クリーム、グリセリン、オリーブ油を使用したあとに光テストを実施し、最小紅斑線量(minimal erythema dose; MED)を測定した。
背景/目的
■ 光線療法と組み合わせて使用され得る様々なの外用剤は、遮断または増強効果を有し得る。
■ このin vivo研究では、中波長紫外線(UVB)の透過に対するワセリン、基剤クリーム、グリセリン、オリーブオイルの効果を検討した。
方法
■ ボランティア被験者32例に、最小紅斑線量(minimal erythema dose; MED)を測定するために光テストを実施し、白色ワセリン、基剤クリーム、グリセリン、オリーブオイル、日焼け止め(0.3 cm3/25cm2)を用いて試験を繰り返した。
■ MEDに対する各薬剤の影響を24時間後に測定した。
結果
■ MEDは白色ワセリンと基剤クリームの使用により上昇した。
■ しかし、MEDはグリセリンとオリーブオイルの使用では変化しなかった。
結論
■ UVB療法の直前に、ブロック効果のある白色ワセリンや基剤クリームを塗布することは推奨されない。
■ しかし、光線療法の前に効果のないグリセリンやオリーブオイルは推奨される。
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ワセリンは、多少UVBのブロック効果があり、グリセリンやオリーブオイルにはその効果がない。
■ 「紫外線療法」は、紫外線を皮膚に到達させないと治療効果が上がりませんので「ワセリンが推奨できない」になります。
■ 普段の生活としては、例えば顔に軟膏を塗ったとして、そこに含まれるワセリンは紫外線を吸収しやすくしたりはしないと言えるでしょう。
■ 一方で、「どんな外用剤でも紫外線を(多少)防ぐではない」とも言えることがわかります。
今日のまとめ!
✅ 白色ワセリンと基剤クリームの使用によりMEDは上昇したが(UVBブロック効果あり)、グリセリンとオリーブ油の使用では変化しなかった。