以下、論文紹介と解説です。

Minami T, et al. Hand eczema as a risk factor for food allergy among occupational kitchen workers. Allergology International 2018; 67:217-24.

職業的に食品を扱う人 1592人、非職業的に扱う人 1915人において、手湿疹と食物アレルギーの関連をウェブベースのアンケートで検討した。

背景

■ 小児における多くの研究は、食物アレルギーの病因において、傷ついた皮膚を介した食物アレルゲンへの曝露による経皮ルートの重要性を強調している。

■ しかし、成人におけるこれに関するデータは限られている。

■ いくつかの症例集積研究では、食品への直接接触後、手湿疹のある厨房労働者に食物アレルギーを発症することが報告されている。

 

方法

■ 疫学的レベルで、成人に対する食物アレルギーの危険因子としての手湿疹の重要性を調査するために、曝露が職業的(コックと食品取扱い者 1592人)または非職業的(主婦 1915人)に分類された厨房従事者に関する横断的なウェブベースのアンケート調査を実施した。

■ ロジスティック回帰を用いて、手湿疹の存在/重症度と潜在的な交絡因子により調整後の食物アレルギーのリスクとの関連を検討した。

 

結果

■ 現在の手湿疹および現在診断されている食物アレルギーは、職業ではない厨房従事者(non-occupational kitchen workers; NOKW)より職業としている厨房従事者(occupational kitchen workers; OKW)でより一般的であった(それぞれ32.3%-vs-29.9%および9.9%-vs-3.8%)。

論文より引用。
職業的に食品を扱う人も、職業的ではなく食品を扱う人も、手湿疹の重症度により食物アレルギーの有症率が高い。

現在の手湿疹は、OKWにおける現在診断されている食物アレルギーのリスクの増加と有意に関連していた(調整オッズ比 2.4; 95%CI 1.6~3.7)

■ より重症の手湿疹の患者は、食物に対するアレルギー症状に罹患し食物アレルギーと診断される可能性が高かった。

 

結論

■ 本研究は、成人における有意な公衆衛生的な問題を証明し、進展中の成人における食物アレルギーの増加に対する手湿疹の大きな影響を示した。

 

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手湿疹は、日常的に食品を扱う人にとって食物アレルギーの原因になるかもしれない。

■ webベースのアンケート調査に基づきますし、さらに、調整はされたとはいえアトピー性皮膚炎自体が手湿疹のリスクにもなりますので交絡因子になっている可能性はあります。

■ とはいえ、症例報告も増えていますし、職業的に医療関係者がラテックスアレルギーになりやすい(良く手を洗い、さらにラテックスを含む手袋をよく装着する)ことはよく知られています。

■ 成人が「後天的に」食物アレルギーを発症するリスクとしての手湿疹は、今後注目されてくるかもしれません。

 

今日のまとめ!

 ✅ 手湿疹は、成人における後天的な食物アレルギーの原因になるかもしれない。

 

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