以下、論文紹介と解説です。
Qamer S, et al. Probiotics for cow’s milk protein allergy: a systematic review of randomized controlled trials. European journal of pediatrics 2019:1-11.
牛乳アレルギーの疑い/もしくは証明された乳児に対しプロバイオティクスの併用が有効かをみたランダム化比較試験計10件(プロバイオティクス845例、対照422例)に関し、寛解を助けるかどうかを検討した。
背景
■ 牛乳蛋白質アレルギー(Cow's milk protein allergy ;CMPA)は乳児期における最も一般的な食物アレルギーであり、大きな健康的な負担と関連する。
■ それらの免疫調節特性を考慮して、プロバイオティクスはCMPAの管理のための戦略として提案されている。
目的
■ CMPAの管理におけるプロバイオティクスの有効性と安全性に関しシステマティックレビューを実施ことを目的とした。
方法
■ CMPAの疑いがあるもしくは証明された乳児に対する管理における補助療法としてのプロバイオティクス内服のランダム化比較試験(randomized controlled trial;RCT)を、PubMed、EMBASE、CINAHL、Cochrane Central Library、Google scholar(2018年8月)により検索した。
■ プライマリアウトカムは、生後6、12、24、36か月時の血便の消失とCMP耐性獲得。
■ セカンダリアウトカムは、アレルギー症状(SCORAD)、成長、腸内細菌叢への影響、有害作用が含まれた。
結果
■ バイアスのリスクが低いか不明である計10件のRCT(プロバイオティクス845例、対照422例)が含まれた。
■ メタアナリシスにより、プロバイオティクス内服は、推定されたCMPAにおける血便(87例; RR:1.45 (95% CI 0.96-2.18); p=0.08; エビデンスレベル(level of evidence;LOE);非常に低い)の早期寛解と関連しないことを示した。
■ 確認されたCMPAにおいて、プロバイオティクスはプラセボと比較し、3年後のCMPに対する耐性獲得率が高かった (493人; RR, 1.47; 95% CI 1.17-1.84; p=0.0009; LOE, low)。
■ 他のアウトカムについては、メタアナリシスは実施できなかった。
■ プロバイオティクスに関連した有害事象はなかった。
結論
■ 限られた低品質のエビデンスは、プロバイオティクス内服がCMPA小児におけるCMP耐性の早期獲得と関連する可能性を示す。
■ これらの知見を確認するためには、大規模でよくデザインされた試験が必要である。
スポンサーリンク(記事は下に続きます)
プロバイオティクスが牛乳アレルギーの寛解を助ける可能性はあるという結果だったが、研究の質は低く、まだ推奨できる段階ではない。
■ プロバイオティクスが乳児期の牛乳アレルギーの早期寛解に関連することは、先行研究でも示されてはいます。
■ ただし、今回の報告でも述べられていますが、「このシステマティックレビューはプロバイオティクスの追加が生後36カ月までの牛乳アレルギーの耐性の早期獲得につながることを示しているが、そのエビデンスは質が低く、1件の大規模研究のデータに影響されている」としています。
■ まだ日常診療に推奨できる方法ではないと思われます。しかし有害事象がなさそうという点からも、今後の研究が進むことが期待されます。
今日のまとめ!
✅ プロバイオティクスが牛乳アレルギーの寛解を促進する可能性が示されたが、まだ推奨できる段階ではないようだ。