以下、論文紹介と解説です。

Gallagher RP, et al. Broad-spectrum sunscreen use and the development of new nevi in white children: A randomized controlled trial. Jama 2000; 283:2955-60.

カナダのバンクーバーの白人学童(小学校1年生と4年生)458人に関し、日焼け止め使用群と非使用群にランダム化して3年間に新しく出来た母斑(あざ)の数を比較した。

背景

母斑(あざ)の密度が高いことは、皮膚の悪性黒色腫の危険因子になりうる。

■ 色素細胞性母斑は小児期から生じ、主に日光曝露に起因する。

 

目的

■ 広域で高いSPF(sun protection factor)の日焼け止め(サンスクリーン剤)の使用が、白人の小児の母斑の発生を少なくするかどうかを明らかにする。

 

試験デザイン

■ 1993年6月~1996年5月に実施されたランダム化試験である。

 

セッティングと参加者

■ 1993年、ブリティッシュ・コロンビア州のバンクーバーにおいて、小学校1年生と4年生の学童458人がランダム化された。

■ 非白人小児と、追跡不能もしくはデータ不足の小児を除外した後、309人の小児が解析された。

■ 1996年の試験開始時と終了時に、それぞれの小児の母斑の数を数えた。

 

介入

介入群222人にランダムに割り付けられた小児の両親は、30分間以上日光にあたることが予想される場合に日光曝露部位にSPF30の広域サンスクリーン剤を使用するよう指示を受けた。

■ 対照群236人にランダムに割り付けられた小児は、サンスクリーン剤を使用せずサンスクリーン剤使用に関するアドバイスもされなかった。

 

主なアウトカムの測定

■ 介入群と対照群とを比較し、研究中の3年間に生じた新たな母斑の数。

 

結果

サンスクリーン群は、対照群よりも母斑の新しい発生が少なかった(数の中央値 24 vs 28; P=0.048)

■ そばかすと試験群に有意な相互作用が検出されたことから、そばかすのある児は、そばかすのない小児よりもサンスクリーン剤の使用が有意に重要であることが示された。

■ データのモデル化により、広域サンスクリーン剤による介入群に割り付けられたそばかすのある小児は、対照群に割り付けられたそばかすのある小児よりも、新しい母斑の新規発症が30%から40%少ないことが示唆された

 

結論

■ このデータは、特にそばかすのある白人小児において、広域サンスクリーン剤が新しく発生する母斑数を減少させる可能性があることを示している。

 

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光老化や「あざ」の発症から考えて、紫外線による日焼け止めは有効と思われる。

■ この研究は白人(紫外線の影響を強く受けやすい)の小児に対する検討なので、そのまま有色人種には使えない可能性があります。

■ また、最近一部で話題になりましたが、日焼け止めに関しては良い面のみを考える時代でなくなってきている印象もあります( Br J Dermatol 2012; 167:391-5.)( Matta MK, et al.Jama 2019.[Epub ahead of print] PMID: 31058986)

■ ただ、光老化を中心に紫外線の悪い面の方が多くわかってきている現状で、日焼け止めをなし、というわけにはいかないだろうと考えます。

 

今日のまとめ!

 ✅ 日焼け止めは、白人小児の新しくできる母斑(あざ)の数を減らす。

 

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