以下、論文紹介と解説です。

Devaux S, et al. Adherence to topical treatment in psoriasis: a systematic literature review. J Eur Acad Dermatol Venereol 2012; 26 Suppl 3:61-7.

乾癬における外用治療アドヒアランスに関する22研究に関し、その実行率とその低下要因を検討した。

背景

■ 治療アドヒアランスは、乾癬のような慢性疾患の管理において重要な問題として認識されている。

 

目的

■ 本研究の目的は、乾癬における外用治療アドヒアランスに関するデータを分析することだった。

 

方法

■ 1980~2011年のシステマティックな文献レビュー(62文献)(データベース:PubMed、Embase、Cochrane; MeSHキーワード:Patient Compliance[MeSH]、Medication Adherence[MeSH]、Psoriasis[MeSH]; 制限:出版日1980年以降、フランス語もしくは英語で書かれた19歳以上のヒト被験者)である。

■ 以下の二つのパラメータを評価した: (i) 医師の推奨に従って実施された製品使用の回数 vs 期待された外用回数の比、(ii)使用された製品の量 vs 処方された製品の量の比。

 

結果

計22件の研究が選択された。

■ 9研究が、リアルな設定における外用治療の頻度について報告した。

5研究では、使用頻度は予想される50%から60%の間で変化することが示された。

■ 使用アドヒアランスの評価方法には大きなばらつきがあるため、データを統合することはできなかった。

12研究が、外用治療頻度のアドヒアランスが、ランダム化比較試験において55%から100%で変化すると報告した。

外用治療量に関する4研究では、14日間から8週間の外用期間中に推奨用量の35%から72%を使用した患者を示した

■ 外用治療のアドヒアランスが不十分な理由として最も多く言及されたのは、外用薬の有効性の低さ、消費される時間、美容的な特性が劣っていることだった。

■ アドヒアランスの問題を経験している患者は有意に低年齢で、男性であり、乾癬発症時の年齢がより若く、自己評価による重症度がより高かった。

■ 外用アドヒアランスを改善するためには、以下の戦略が提案された:乾癬に関する情報を患者に提供すること、社会的影響を認識すること、ケアプランのような使用のための指示書を与えること、外用療法の副作用を説明すること、患者と一致した美容的特性により治療を選択すること。

 

結論

■ 外用治療のアドヒアランスに関する文献データは不均一であり、少ない。

■ 彼らは、乾癬における外用治療のアドヒアランスは、ランダム化比較試験で報告されているものよりはるかに低く、現実の生活では限られていることを確認している。

■ アドヒアランスを改善するためには、治療の教育や外用薬の使用に関する明確な指示が必要である。
乾癬では、外用アドヒアランスが限られていることを予測する因子を同定し、外用薬のアドヒアランスを改善する介入を特定するための研究が必要である。

 

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外用治療に関し、「良くならない」場合は実行率も想定し対策を考える必要がある。

■ 「良くならない」場合に実行率にも配慮する必要があります。

■ どの治療においてもいえることがもしれませんが、病態の説明や、紙に書いて書いてお渡しすることは重要と言えます。

■ しかし、海外に比較して患者さんひとりあたりの時間の制約がきわめて厳しい日本においてどのように実行していくのかは、とてもむずかしい問題とも言えましょう。

 

今日のまとめ!

 ✅ 乾癬に対する外用治療の実行率(アドヒアランス)は半分程度にすぎない。病態の説明や、紙に書いて書いてお渡しすることは重要といえる。

 

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