以下、論文紹介と解説です。
Soriano VX, et al. Earlier ingestion of peanut following changes to infant feeding guidelines: The EarlyNuts Study. J Allergy Clin Immunol 2019.[Epub ahead of print]
2016年11月から2018年10月にEarlyNutsスタディに参加開始した乳児860人が、2007~2011年に実施されたHealthNutsスタディの時期に比較してピーナッツ開始時期が変わったかを確認した。
背景
■ ランダム化比較試験は、乳児へのピーナッツの適時的に導入するとピーナッツアレルギーの発症リスクを低下させることを示している。
■ しかし、集団レベルで早期にピーナッツを導入する最善の方法に関しては、多くの議論が残っている。
■ 2007~2011年に実施された先行研究(HealthNutsスタディ; 5300人)では、1歳までにピーナッツを摂取開始していた乳児はほとんどいなかった。
■ オーストラリアの乳児栄養ガイドラインは2016年に更新され、すべての乳児に対して生後12ヶ月より前にピーナツを導入するよう推奨している。
■ その後のピーナッツ開始やピーナッツに対する反応への影響に関するデータは入手できていない。
目的
■ 生後1歳の集団ベースのサンプルにおける、アレルギー性食品の導入に対するスクリーニングをしないアプローチの影響を評価する。
方法
■ EarlyNutsは、オーストラリアのメルボルンにある生後12ヶ月の乳児を対象とした集団ベースの横断的研究であり、HealthNutsと同一のサンプルフレームワークと方法を用いてリクルートされた(回答率はHealthNutsで73%、EarlyNutsでは72%だった)。
■ この報告では、2016年11月から2018年10月にリクルートした最初の860人の参加者について報告する。
結果
■ 大多数の乳児(88.7%; 95% CI 86.1-90.9)は、生後12ヶ月(中央値生後6ヶ月)までにピーナッツを開始していた(HealthNutsでは28.4%(95% CI,27.2-29.7))。
■ 生後12ヶ月までに、大部分(76.4%)はピーナッツを4回以上摂取しており、28%は週に一回以上摂取していた。
■ 親が報告した(アレルギー)反応に関する予備的な結果によると、生後12カ月までにピーナッツを摂取した乳児の4.0%にIgE依存性の反応の可能性があることが示された。
結論
■ ピーナッツの早期導入に向けて大きな変化があり、2007~2011年と比較し2018年には、1歳までにピーナッツを開始した児が3倍に増加した。
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離乳食早期開始の流れはこのまま進みそうだが、アレルギー症状には留意する必要性がある。
■ すでに同様の検討は2014年に報告されています(先行研究では2009~2011年の検討でした)。
■ 今後、特にピーナッツや卵の離乳食早期導入の流れは加速するでしょう。しかし一方で、早期開始したときのリスク因子の検討も同時にすすめていく必要性があると考えられます。
■ 特に日本では、もともとそれほど多くのピーナッツを食べない国です。メリットとデメリットを検討する必要性があります。
■ もちろん、この4%という数字は、「アンケート調査」に基づくものですから、「本当の」発症率はもっと低いと予想されます。
今日のまとめ!
✅オーストラリアにおいて、1歳未満でピーナッツを導入する率は3倍になっているが、IgE依存性のアレルギー症状に留意する必要性はある。