以下、論文紹介と解説です。
Dhami S, et al. Allergen immunotherapy for allergic rhinoconjunctivitis: a systematic review and meta‐analysis. Allergy 2017; 72:1597-631.
アレルギー性鼻結膜炎に対するアレルゲン免疫療法の有効性、費用対効果、安全性を評価するシステマティックレビューを実施した。
背景
■ 欧州アレルギー臨床免疫学会(EAACI)は、アレルギー性鼻結膜炎に対するアレルゲン免疫療法(Allergen Immunotherapy ;AIT)に関するガイドラインを作成中である。
■ 臨床的な推奨を通知するために、アレルギー性鼻結膜炎の管理におけるAITの有効性、費用対効果、安全性を評価するシステマティックレビューを実施した。
方法
■ 公開済み、実施中、未公開のエビデンスを、9つの国際的な医学データベースで検索した。
■ 研究は、事前に定義された適格基準に照らあわせて2人の査読者により独立してスクリーニングされ、確立された手法を用いて批判的に評価された。
■ 目的としたプライマリアウトカムは、症状、投薬、症状と投薬スコアの組み合わせだった。
■ 目的としたセカンダリアウトカムは、費用対効果と安全性だった。
■ データを記述的に要約され、ランダム効果メタ解析を用いて定量的に統合された。
結果
■ 5960研究を特定し、そのうち160研究が適格基準を満たした。
■ 多くのエビデンスは、標準化平均差(standardized mean differences; SMD)に関して、症状(SMD -0.53; 95%CI -0.63~-0.42)、投薬(SMD -0.37; 95%CI -0.49~-0.26)の有意な減少を示した。
■ 治療中の症状と投薬の組み合わせスコアは、事前に決められた感度分析に対して強力だった(SMD -0.49; 95%CI -0.69~-0.30)。
■ 一方、AIT中止後の有効性に関するエビデンスはより低かったが、症状スコアに関して有益性が示唆された。
結論
■ AITはアレルギー性鼻結膜炎患者の治療中の症状、投薬、症状、投薬の複合スコアを改善するにおいて有効であり、これらの利点が治療中止後の症状スコアに関連しても維持されることを示唆する若干のエビデンスがある。
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スギ、ダニ以外に対する免疫療法は現状では使用できる見込みはない。だが今後、使用できることを期待したい。
■ 我が国では残念ながら、ダニやスギ以外のアレルゲンに対する免疫療法は使用できる見込みはないようです。
■ 問題点として、「製剤が安すぎる」という点が挙げられます。
■ 患者さんにとっては良いのですが、製薬会社は「開発費用が回収できない」という問題を抱えることになります。
■ ですので、今後、治療できる幅を広げるためには、安価であれば良いとばかりとは言えないのではないかとも思います。
今日のまとめ!
✅ 免疫療法は、アレルギー性鼻結膜炎に有効である(ただし、日本で使用できる製剤はスギとダニのみ)。