以下、論文紹介と解説です。
Carlson G, Coop C. Pollen food allergy syndrome (PFAS): A review of current available literature. Ann Allergy Asthma Immunol 2019. [Epub ahead of print]
花粉食物アレルギー症候群(Pollen food allergy syndrome; PFAS)の文献を検索し、レビューした。
目的
■ 花粉食物アレルギー症候群(Pollen food allergy syndrome; PFAS)は、診断や治療的な問題を提起している複雑な症候群である。
■ この研究の目的は、その有病率、病因、診断、治療に関する入手可能な文献を要約することだった。
データソース
■ PubMed検索が、以下の検索用語により英語の記事を含むものに対して実施された:花粉食物症候群(pollen food syndrome)、花粉食物アレルギー症候群(pollen food allergy syndrome)、PFAS、口腔アレルギー症候群、OAS、食物アナフィラキシー、食物コンポーネント。
研究選択
■ PFASについて述べているヒトの報告。
結果
■ PFASの有病率は、小児では4.7%から20%以上、成人では13%から58%の範囲でさまざまな報告がなされている。
■ 有病率は地域によって大きく異なる。
■ PFASは通常、クラスII食物アレルゲンの結果である(例えば、吸入アレルゲンに感作され、食物アレルゲンとの交差反応により反応が起こる)。
■ 通常これらの反応は、反応を引き起こすタンパク質の不安定性のため、口腔咽頭に限定される。
■ 一方で、さまざまな安定性を持つタンパク質の複数の系統がPFASを引き起こすため、アナフィラキシーショックが最大1.7%で記録されており重症の全身反応も起こりうる。
結論
■ したがって花粉食物アレルギー症候群は、良性の食物アレルギーとして片付けることはできず、既知の危険因子に基づいて個別にアプローチする必要がある。
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PFASは今後増える可能性があり、まれに重篤な症状が起こりうる。
■ PFASは日常的に経験することが増えましたが、除去が基本になります。
■ シラカバ花粉に対する急速免疫療法や、リンゴやモモに対する経口免疫療法・舌下免疫療法の報告はあるものの、標準療法へは道のりは長い状況です。
■ スギやダニ以外に舌下免疫療法の製剤も増える予定はなく、今後どうするべきかはまだ見通しは立っていないと言えます。
今日のまとめ!
✅ PFASに対するレビューが発表されていたが、まだ治療に関しては道のりは長そうだ。