以下、論文紹介と解説です。
Cassim R, et al. Does physical activity strengthen lungs and protect against asthma in childhood? A systematic review. Pediatr Allergy Immunol 2019. [Epub ahead of print]
小児や青年における運動と喘息の長期的な関連を検討した9研究のシステマティックレビューを実施した。
背景
■ 身体活動は喘息の潜在的に修正可能な危険因子であり、また、肺機能を発達させる因子でもある。
■ このシステマティックレビューは、小児と青年における喘息の発症・喘息症状の持続や肺機能のアウトカムに対する身体的活動の長期的効果のエビデンスを要約することを目的とした。
方法
■ PubMedやEMBASEといった電子データベースを検索し、小児や青年における身体活動と喘息のアウトカムまたは肺機能アウトカムとの長期的な関連性を検討したすべての原著論文を検索した。
■ 調査とデータ抽出は、2人の独立した研究者によって行われた。
■ 含まれた研究の方法論的品質は、2種類の重要な評価ツールを用いて評価した。
結果
■ 文献検索は電子データベースから2298文献が取り出された。
■ 全論文をスクリーニングし2289件が除外された結果、このレビューに含めるのに適格な縦断的研究が9件得られた。
■ 2研究では偶発的な喘鳴との関連は認められず、4件中2件の研究ではさまざまな喘息アウトカムとの関連は認められなかった。
■ 3研究では肺機能への影響が調査され、1件は男児のみ、1件は女児のみに関連が認められ、1件は関連が認められなかった。
結論
■ 身体的活動と喘息や肺機能のアウトカムの関連性については、エビデンスは極めて矛盾したものだった。
■ したがって、身体的活動が小児の喘息発症リスクに対し長期的な影響を及ぼすことを示唆するエビデンスは不十分であると結論した。
■ さらに、小児の肺機能に対する身体活動の長期的影響を明らかにするエビデンスも不十分だった。
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運動が喘息の予後に及ぼす影響は、現状でははっきりしていないようだ。
■ 運動と喘息の予後に関し、現状でははっきりした結論は導き出せないようです。
■ これは、喘息のステージや多様性にも関連しているのではないかと思われます。
■ 個人的には、運動ができるようなコントロールを目指すこと、そして強度の強い運動を希望するお子さんには1段階上げた喘息コントロールを行って運動誘発性喘息発作を減らし、喘息コントロールが不十分なときの運動量を調整する、、などが重要なのかな、、と考えています。
■ そして『運動をしないといけない』、もしくは『運動をしてはいけない』、の両極端な指導は避けたいな、、と思っています。
今日のまとめ!
✅ 運動と喘息の予後(喘息発症や肺機能の発達)に対し、良い影響があるか、悪い影響があるのか、まだ十分な結果を出すことは難しいようだ。