以下、論文紹介と解説です。

Egger M, et al. Pollen‐food syndromes associated with weed pollinosis: an update from the molecular point of view. Allergy 2006; 61:461-76.

花粉‐食物症候群(pollen‐food syndrome; PFS)とは?

■ 花粉症患者は、花粉と食物アレルゲンが共有する免疫グロブリンE(IgE)交差反応構造の結果として、植物由来食品の摂取でしばしば有害反応を示す。

■ このような花粉‐食物症候群(pollen‐food syndrome; PFS)またはクラス2食物アレルギーの症状は、口腔アレルギー症候群から重症の全身性アナフィラキシーまで様々である。

■ 2つの臨床症候群、セロリ‐ヨモギ‐スパイス症候群やヨモギ‐マスタード‐アレルギー症候群が雑草花粉症に関連して述べられている。

■ しかし、雑草花粉症とある種の食物に対する過敏症には、ヨモギ―桃、ブタクサ―メロン―バナナ、オオバコ―メロン、ピレトリウム―ピスタチオ、アカザ―果物、ロシアアザミ―サフラン、ホップ―セロリの関連のような他の関連性も述べられている。

■ 関与するアレルゲン数、アレルゲン、地理、食事、調理といった影響する要因はPFSの臨床的複雑性に関係する。

■ これまでのところ、既知の原因となる交差反応性アレルゲンはプロフィリン、脂質輸送蛋白質(LTP)、高分子アレルゲン、糖鎖アレルゲンが含まれる。

■ 現在のような標準化されていないアレルゲン抽出物の使用は、PFS患者の診断や治療の両方にさらなる問題をもたらす。

■ 関与するアレルゲンをさらに同定し特徴づけることは、PFSやワクチン開発へより良い理解のためにも避けられない。

リコンビナントアレルゲンおよび/または低アレルゲンパネル検査は、PFS診断と治療の両方を改善する有望なツールである。

 

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PFASはかなり複雑な病態であり、まだまだこれから明らかにせねばならないことが多いです。

■ PFASは、以前は口腔アレルギー症候群(OAS)と言われていた病態です。

■ PFASはさまざまな「交差抗原」が原因になります。

■ たとえば、シラカバ花粉にアレルギーになった場合、「Bet v 1」という蛋白質にアレルギーになることが多く、そのBet v 1に似たMal d1 1という蛋白質を持ったリンゴにアレルギーになる、、といった感じです。

■ これらの交差は複雑に絡み合っていますし、粗抗原という「花粉全体」を試薬にすると偽陽性がおおくなってしまうのですね。

■ 今後は、粗抗原ではなく「原因となる蛋白質を精製(リコンビナント)」して検査の試薬にしていくという動きが強まってくると思われます。

 

今日のまとめ!

 ✅ PFASのレビューを紹介した。

 

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