以下、論文紹介と解説です。
Tham EH, et al. Phototherapy for neonatal hyperbilirubinemia and childhood eczema, rhinitis and wheeze. Pediatr Neonatol 2019; 60:28-34.
シンガポールにおける出生コホート研究に参加した1058人に関し、新生児期の光線療法がその後のアレルギー疾患発症に関連するかを検討した。
背景
■ 小児におけるアレルギー疾患の病因は、胎児期および新生児期の免疫調節に対する初期の環境刺激の影響に起因する可能性がある。
■ 新生児高ビリルビン血症はアジア人に一般的であり、乳児の最高20%が光線療法を必要とする。
■ そこで、新生児高ビリルビン血症に対する光線療法が、Growing Up in Singapore Towards healthy Outcomes (GUSTO)出生コホートにおいて湿疹、鼻炎、喘鳴を発症する乳児のリスクを調整するという仮説を検討した。
方法
■ インタビュアーは、人口統計学、ライフスタイル、出生データ、アレルギー転帰に関する情報を収集した。
■ アレルギー感作は、吸入アレルゲンと食物アレルゲンに対する皮膚プリックテスト(skin prick testing ; SPT)によって評価した。
結果
■ 計135人(12.8%)が新生児高ビリルビン血症のため光線療法を受けた。
■ 光線療法を受けた乳児(平均37.5週 [2.5SD])は、受けなかった乳児(38.5週 [1.2SD])と比較し在胎週数が有意に短かった(p<0.01)。
■ 帝王切開分娩で生まれた乳児は、経腟分娩で生まれた乳児と比較して光線療法を受けた率が高かった(17.5% vs 10.7%、p<0.01)。
■ 光線療法を受けた乳児と受けなかった乳児で、生後5歳時のアレルゲン感作、湿疹、鼻炎、ネブライザー使用による早期発症喘鳴の有病率に差はなかった。
■ また、光線療法群の最高の平均ビリルビン値と、生後5歳時の湿疹、鼻炎、早期発症喘鳴の発症にも関連は認められなかった。
結論
■ この前向き母子コホートでは、新生児高ビリルビン血症に対する光線療法とアレルギー転帰に関連性を示すエビデンスは認められなかった。
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過去実施された中では最大の出生コホート試験では、光線療法とアレルギー疾患の関連は認められなかった。
■ 光線療法は、極めて重要な処置であり、大きな予後因子である核黄疸の可能性を大きく下げます。
■ そして少なくともこれまで実施された中では、この検討が最大の参加人数となります。
■ 結果として、光線療法とアレルギー疾患の発症に関連はありませんでした。
■ まだ結論を出すことは難しいかもしれませんが、アレルギー疾患をおそれて光線療法を避けるようなことはすべきではないと思われます。
今日のまとめ!
✅ 過去実施された中では最大の出生コホート研究では、新生児期の光線療法は、その後のアレルギー疾患の発症リスクに関連していなかった。