以下、論文紹介と解説です。

Storm A, et al. A prospective study of patient adherence to topical treatments: 95% of patients underdose. J Am Acad Dermatol 2008; 59:975-80.

皮膚疾患の治療のために初診した患者17人の外用薬に関し、2週間後に自宅を訪問して使用量を確認した。

背景

■ 治療成績を良好にするにはアドヒアランスが重要である。

■ しかし皮膚疾患のある患者において外用薬が適切な用量で使用されているかどうかは、十分に検討されていない。

 

目的

■ この前向き研究の目的は、皮膚疾患のある初診の外来患者が外用薬による初期治療における適切な用量をどの程度使用するかを確認することだった。

 

方法

■ 皮膚科外来初診患者の診察を観察した。

■ 以前使用したことのない外用薬処方を受けている患者が適格だった。

■ 各患者に使用される外用薬の予想量は、治療される、疾患のある皮膚領域から計算された。

患部は手掌枚数で推定され、0.25 gの軟膏またはクリームの量を、手掌1枚分の領域をカバーするのに十分な処置とされた。

■ 受診2週間後、各患者に対し、患部の広さ、治療後の気持ち、前日の使用量に関する項目を含むアンケートを郵送した。

■ アンケートは患者の自宅から個々に収集し、同時に患者の外用薬の容器の重量を測定した。

■ 患者とスタッフの両方を、アドヒアランスと使用薬物に関する研究目的を盲検化した。

 

結果

全17人の患者が適格だった。

大多数はステロイド外用薬の処方を受け、治療すべき領域は中央値として手掌3枚分だった(四分位範囲:1.5~8枚)

■ 2人は処方箋を使用しなかった。

1人のみが期待された用量を使用し、全体として、期待される個々の投与量の中央値35%(四分位範囲:22%-50%)が用いられた

 

制限

■ 新たに概要療法を受けた初診患者のみが含まれており、研究規模は小規模だった。

 

結論

■ 皮膚疾患のある初診患者のほとんどは、新しく処方された外用治療量が不十分である。

■ したがって、臨床医は外用療法が失敗した場合、常にアドヒアランス不良を考慮する必要がある。

 

スポンサーリンク(記事は下に続きます)



 

医療者は、実際にその外用薬が適切に使用されているかを確認する必要性がある。

■ たとえばアトピー性皮膚炎が安定し、ステロイド外用薬が順調に減らせていれば予想以上にステロイド外用薬を減らせていてもいけなくはありません。

■ 一方、「よくならない」場合には、まず量や頻度を見直す必要性があります。多くは量や頻度や塗り方が自己流になってきているケースが多いようです。

■ でも、『塗る』という治療を続けることは決して簡単ではないことも良く理解できます

■ この問題は、医師自身にも責任の一端があると考えています。十分必要性をお話しできていないケースもあるでしょう(これは私自身にも言えることです)。

■ 積極的な量を使用する場合は副作用も想定し、減量できるかどうかの目標を共有しながら治療をすすめていき、できるだけ紙に具体的な量や頻度を書いてお渡しするなどが必要だろうと思っています。

 

今日のまとめ!

 ✅

 

Instagram:2ヶ月で10000フォロワーを超えました!!!

Xでフォローしよう