以下、論文紹介と解説です。
Kansen HM, et al. The impact of oral food challenges for food allergy on quality of life: A systematic review. Pediatr Allergy Immunol 2018; 29:527-37.
診断的介入(特に食物経口負荷試験)が、生活の質を改善しているかを検討した研究7本( 1370人)に対するシステマティックレビューを実施した。
背景
■ 食物アレルギーは、健康と関連したQOL(health-related quality of life; HRQL)を著しく損なう。
■ 現状では、食物アレルギーの診断的介入がHRQLを改善するかどうかは未だ不明である。
■ そこで、HRQLに対する食物アレルギーに対する診断的介入の影響を評価することを目的とした。
方法
■ 診断的介入(皮膚プリックテスト、特異的IgE抗体価、経口食物負荷試験 [oral food challenges ; OFC])を受けた食物アレルギーの疑いのある患者に焦点を当て、HRQLを評価した研究に対するシステマティックレビューを実施した(MEDLINE、Embase、Cochrane Library、CINAHL)。
■ 診断的介入前後のHRQLの平均差を算出した。
■ 臨床的に重要な差である0.5が、食物アレルギーの生活の質に関するアンケートにおいて臨床的に有意差があると考えた。
結果
■ HRQLへのOFCの影響が調査された報告1465本のうち7本が含まれた(患者総数 1370人)。
■ 他の診断的介入は調査されなかった。
■ 報告2本において、食物アレルギーの疑いがある小児の転帰とは関係なく、親からの報告におけるHRQLは明らかに改善した。
■ この変化は、2本中1本の報告において臨床的に有意であると考えられた。
■ さらに、親の報告したHRQLは、小児の食物アレルギーを確認する誘発用量を評価するOFC後に改善された。
■ 親の負担は、食物アレルギーの軽快を評価するためのOFCの実施後に有意に低下した。
■ 適格な報告数が限られていることと、かなりの異質性があるため、メタアナリシスを行うことはできなかった。
結論
■ OFCは、食物アレルギーに特有のHRQLの改善や、物アレルギーの親の負担軽減と関連している。
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食物負荷試験を適切に実施できれば、特に親の負担は軽減するかもしれない。
■ 食物アレルギーは、UPDATEのスピードが著しい、発展途上の分野です。
■ 食物経口負荷試験は、リスクもあるため数を多く実施することは困難ですが、生活の質は改善する可能性が高いようです。
■ なかなか専門的な介入が難しい面はありますが、例えば下記のインスタグラムで、医師を検索するヒントを提示していますのでご参考まで。
今日のまとめ!
✅ 食物経口負荷試験は、患児だけでなく保護者の負担感や生活の質を改善するかもしれない。