以下、論文紹介と解説です。
Choi SY, et al. Optimal conditions for the removal of house dust mite, dog dander, and pollen allergens using mechanical laundry. Ann Allergy Asthma Immunol 2008; 100:583-8.
水温30℃、40℃、60℃、スチームの4つの洗浄方法と、すすぎによるアレルゲン除去量を評価した。
背景
■ 洗濯機はアレルゲン制御に有効な道具であるが、アレルゲン除去の最適条件はまだ明らかではない。
目的
■ チリダニ類(house dust mite; HDM)、犬のふけ、花粉アレルゲンの除去のための洗濯機の最適条件を評価する。
方法
■ 洗剤による30℃(華氏86度)、40℃(華氏104度)、60℃(華氏140度)、スチーム(steam water ; SW)の4つの洗浄方法を評価した。
■ アレルゲン除去性能は、2箇所の酵素結合免疫吸着検定法( enzyme-linked immunosorbent assay ; ELISA法)またはELISA阻害試験を用いて評価した。
結果
■ 30℃と40℃の洗浄方法を用いると、コナヒョウヒダニを6.5%、9.6%を殺すことが出来た。
■ ただし、60℃とSWの洗浄方法を使用すると、すべてのHDMを殺すことが出来た。
■ 未処理の汚染シートにおいて、30℃、40℃、60℃、SWによる洗浄後のDer f1残存量は、26.8%、2.4%、1.3%、0.6%だった。
■ 30℃で洗浄した後のDer f1量に及ぼすすすぎの影響は、40℃、60℃、SWモード後と比較し大きかった。
■ 洗浄後の抽出物中のCan f1の量は、すべての洗浄方法で0.3%~1.3%だった。
■ 全ての抽出物はすすぎがなくともELISAによる犬アレルゲン特異的IgE結合を阻害せず、洗浄後の花粉アレルゲン残存量は低温モードよりも60°CやSWの洗浄方法で低くなった。
■ しかし、種々の洗浄方法によっても、1回のすすぎ後では差はなかった。
結論
■ 水温と洗浄回数は、HDM、犬のふけ、花粉アレルゲンの除去に重要な因子である。
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水温を上げるのは、日常の洗濯としてはなかなか難しいので、すすぎ回数を増やす方法がいいのではと考えています。
■ 60℃で洗濯は、一般的な洗濯機ではなかなか難しいでしょう。
■ 個人的には、残存する洗剤を減らすためにも『すすぎ回数を増やす』ほうが現実的だと考えています。
※ 調べてみると、『温水洗濯機』なるものもあるみたいですが、、アレルゲン除去に効果があるかは不明です。(もちろん、この研究結果からは有用とも思えますが、高価なので)あえて買い換えるよりも、すすぎ回数で対応するほうが現実的ではないかと個人的には考えています。
今日のまとめ!
✅ 洗濯でアレルゲン除去をするには、水温が高く、すすぎ回数が多いほうがより有効なようだ。