以下、論文紹介と解説です。
Danier J, et al. Clinical Presentation of Influenza in Children 6 to 35 Months of Age: Findings From a Randomized Clinical Trial of Inactivated Quadrivalent Influenza Vaccine. The Pediatric infectious disease journal 2019; 38:866-72.
5シーズンにわたって13ヶ国で実施された、不活化四価インフルエンザワクチンのランダム化比較試験に参加した12018人に関し、インフルエンザの臨床症状を評価した。
背景
■ インフルエンザの危険因子のない生後6~35か月の小児における不活化四価インフルエンザワクチン(inactivated quadrivalent influenza vaccine;IIV4)試験の探索的解析において、インフルエンザの臨床症状と転帰に対するワクチンの影響を評価した。
方法
■ この第III相試験は、インフルエンザの5シーズン(2011~2014年)にわたって地理的にさまざまな13ヶ国で実施された。
■ 小児を1:1にIIV4群または対照群にランダム化した。
■ インフルエンザ様のエピソード(influenza-like episodes;ILE)に対して積極的なサーベイランスを実施した。
■ インフルエンザは逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(reverse transcription polymerase chain reaction;RT-PCR)によって確認された。
■ ワクチン接種コホート全体(12018人)が評価された。
結果
■ 5702人が1回以上のILEを経験した。
■ 356人(IIV4群)および693人(対照群)の小児がRT‐PCRで確認されたインフルエンザに罹患していた。
■ RT‐PCR陽性/RT‐PCR陰性症例におけるILEの有病率は、ワクチン接種にかかわらず同様であった。
■ IIV4接種を受けた小児では、インフルエンザの進行が抑制された。
■ 中等症~重症のインフルエンザは、IIV4群では対照群よりも報告される可能性が41%低かった [粗オッズ比 0.59 (95%信頼区間:0.44~0.77)]。
■ さらに、ワクチンを破られた(ワクチンをしていても感染した)小児でも、39℃を超える発熱の頻度は、IIV4接種群は対照群より46%少なかった [粗オッズ比:0.54(95%信頼区間:0.39−0.75)]。
■ アウトカム分析によると、毎年、IIV4は1000人中54人のインフルエンザを予防し、1人のインフルエンザの罹患を予防するために19人のワクチンを接種する必要がある。
結論
■ 参加者のうち50%でインフルエンザを予防することに加え、IIV4接種は、ワクチン接種にもかかわらず罹患したインフルエンザのエピソードのある小児におけるインフルエンザの重症度や負担を軽減した。
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インフルエンザワクチンは、重篤なイベント(入院や死亡)だけでなく、高熱の頻度を約半分にする。
■ 普段の臨床経験からの印象は少ないですが、インフルエンザワクチンは、高熱の頻度も下げるといえそうです。
■ ワクチン接種を推奨する理由の一つになるかもしれませんね。
■ 『インフルエンザワクチンをしても発熱が高かった』と患者さんからのお話があって、ワクチンが高熱を減らす印象が少ないのは、選択バイアスがあるからかもしれません。
今日のまとめ!
✅ 生後6ヶ月~3歳未満に対する不活化4価インフルエンザワクチンは、もしインフルエンザに罹患しても、高熱の頻度を約半分にする。