以下、論文紹介と解説です。

Seghers AC, et al. Atopic dirty neck or acquired atopic hyperpigmentation? An epidemiological and clinical study from the National Skin Centre in Singapore. Dermatology 2014; 229:174-82.

単一施設のアトピー性皮膚炎患者544人を検討し、『さざ波様湿疹』の頻度を調査した。

背景

アトピー性皮膚炎(atopic dermatitis; AD)患者における『アトピー性皮膚炎性ダーティネック(さざ波様湿疹)』はよく分かっていない後天性色素沈着である。

 

目的

■ この疾患の特徴の全体をまとめた、単一施設の経験を報告する。

 

方法

■ National Skin Centreで5か月以上観察された頸部のダーティネックがある全AD患者に参加を呼びかけた。

 

結果

■ 検査したAD患者544名のうち、78名(14.3%)は頚部の後天性色素沈着があった。

大多数は中等症から重症の湿疹が基礎にあった

■ 病理組織学的検査では、表皮メラニンおよび真皮メラノファージの増加、基底膜の肥厚、浅在性血管周囲浸潤が認められた。

 

結論

■ 後天性アトピー性皮膚炎による色素沈着は、特にアジア人の青年期男性において高い有病率となっている。

■ 臨床病理学的な対比は、摩擦によるメラニン沈着と炎症後色素沈着の両方から生じることを示唆する。

■ さざ波状の外観および青年期の発症は、おそらく鎖骨近傍の数珠状の線の強調によるものであろう。

■ アトピー性皮膚炎の最適なコントロールは、心理社会的影響を考慮すると重要であり、増悪を防ぐ可能性と、場合によっては予防する可能性がある。

 

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さざ波様湿疹は決して少なくなく、小児でもありうる。

■ さざ波様湿疹は、小児に関してはタクロリムス外用薬を長期にぬって改善を目指すことが多いです。

■ 特に、頚部に関してはステロイド外用薬を長期に塗ることが難しい部分ですので、さざ波様湿疹ができないような対応も必要となるでしょう。

 

今日のまとめ!

 ✅ 『さざ波様湿疹(ダーティネック)』はアトピー性皮膚炎患者の14%に見られ、稀ではなかった。

 

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