以下、論文紹介と解説です。

van Boven FE, et al. A reintroduction of environmental mite allergen control strategies for asthma treatment and the debate on their effectiveness. Clinical & Experimental Allergy 2019; 49:400-9.

喘息に対するダニアレルゲンの低減戦略の再度検討したレビュー。

■ 喘息は世界中で30億人が罹患している。

■ 喘息治療に対するチリダニアレルゲン制御の有効性は議論の余地がある。

■ そして、既存のメタアナリシスでほとんど議論されていない側面のひとつは、環境への介入戦略の役割である。

■ ここでは、これまで定義されたダニアレルゲン制御の戦略を再度確認し、臨床的効果に対する議論におけるチリダニアレルゲン制御の重要性を考察する。

■ 寝室での同時介入の戦略は、事前に定義された併用した介入に関連し、一方、曝露に基づく制御の戦略は曝露評価後の関連した織物の処理に関連する。

■ 空気清浄機を使用した戦略は、呼吸している領域の吸入アレルゲンをきれいにすることを目的とする。

■ 西欧の診療では、これらの戦略の使用はさまざまである。

■ GøtzscheとJohansen(Cochrane Database of Systematic Reviews,2008,Art.No.CD001187)によるCochraneレビューの事後解析研究から、基礎となる試験の大多数が寝室での同時介入の戦略について報告されており、それは主に最小限の方法で実施されているように思われた

■ いくつかの試験は空気清浄機による戦略について報告しており、有効性に関する議論を変える可能性がある。

■ 曝露に基づく制御という戦略に関する試験は報告されていない。

■ したがって、喘息治療におけるダニアレルゲン制御の有効性に関するエビデンスがないことは、寝室への並行介入の戦略に当てはまると仮定される。

■ 曝露に基づく制御という戦略に対するエビデンスの有効性は,確定していないようである。

■ 事後解析の結果は、ダニアレルゲン制御における将来のメタアナリシスにおいて、環境に対する介入戦略を事前に定義すべきであることを勧めた。

■ ダニアレルゲン制御の将来の検討は、あまり実施されていない空気清浄機による戦略と、曝露量から検討した戦略の検討を試験するために必要である。

 

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今後の環境整備(特にダニの低減)をどうするかにおいて、重要な総論でしょう。

■ 翻訳がこなれていなくてわかりにくいと思いますが、『事前にダニに汚染されている可能性が高い環境への介入』に『ひとつだけの環境整備の手法ではなく複数の方法で介入する』必要があり、これまであまり注目されていなかった(有効ではないと考えられていた)空気清浄機による介入も考えていく必要があるといえそうです。

■ コクランシステマティックレビューの検討は、多くは単一の方法で介入していたため、有効性がだせなかった可能性があると言えましょう。

■ 個人的には環境整備は有用と考えています。とくに、低年齢で『まだ感作されていない時期』からの介入と、『ダニに汚染されているのではないかと予想されるような』特異的IgE抗体価の急激な上昇をみせている場合には有用ではないかと思っています。

■ しかし、できれば、事前にダニに汚染されているのかをみていくのが理想的でしょう。ですが、その実施可能な方法が少ない以上、なかなか強く勧めるのも難しいと言わざるを得ないです。

■ そして今後、免疫療法が普及するにしたがい、環境整備をより制御できるようになればよいのだろうに、、とも思っています。

 

今日のまとめ!

 ✅ ダニに対する環境整備のレビューを紹介した。

 

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