以下、論文紹介と解説です。

Moore WC, et al. Identification of asthma phenotypes using cluster analysis in the Severe Asthma Research Program. Am J Respir Crit Care Med 2010; 181:315-23.

SARPコホート研究に参加した726人の喘息患者に対し、クラスター解析を行い喘息の型(フェノタイプ)分類を行った。

論拠

■ Severe Asthma Research Program(SARP)のコホートには、詳細なフェノタイプの特徴づけを行った持続性喘息患者の被験者が含まれている。
そして、単変量法である先行研究は、軽症、中等症、重症喘息の特徴を比較した。

 

目的

■ 基準(目的)変数なしの階層的クラスタ分析を用いて、新しい喘息フェノタイプを同定する。

 

方法

■ 冗長データの排除とカテゴリー変数の順序合成変数への変換により、当初の628変数から34変数へ減少した。

■ そして、726名のクラスター分析を行った。

 

測定結果と主な結果

■ 5つのクラスターを同定した。

Cluster1(110人)は、正常な肺機能を有する早期発症型アトピー性喘息であり、二種類以下のコントローラー薬剤(82%)で治療されており、医療機関の利用は最小限だった。

■ Cluster2(321人)は、早期発症アトピー性喘息で肺機能は保たれているが、喘息薬の必要量と医療機関の利用が増加している(3剤以上が29%)被験者から構成されていた。

■ Cluster3(59人)は、遅発性非アトピー性喘息、FEV1の中等度低下、増悪を管理するために頻繁に経口ステロイド薬を使用している、大多数が高齢の肥満女性の特殊な群だった。

Cluster4(120人)、Cluster5(116人)は、気管支拡張薬の反応性があるものの強い気道閉塞がある点が共通するものの、正常な肺機能を達成する力・喘息発症年齢・アトピー状態・経口ステロイドの使用がそれぞれ異なった

 

 

結論

■ 基準(目的)変数なしの階層的クラスタ分析を用いて、喘息の5種類の異なる臨床フェノタイプを同定した。

■ すべてのクラスターには、American Thoracic Societyの重症喘息の定義に合致する被験者が含まれており、喘息における臨床的な不均一性と喘息における疾患重症度分類のための新しいアプローチの必要性を支持していた。

 

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喘息の分類は、さまざまあります。

■ ここ10年くらい、クラスター分類をもちいた分類はさまざまな研究結果ででています。

■ 喘息は、ひとつの視点からだけでは捉え方が不十分だろうということはわかってきており、それぞれに対応した治療や対応を考えようとするための分類と言えます。

■ とはいえ、これらの検討は『あとから見るとこの群だった』とわかるという、臨床ではそのまま使えるとは言えません。

 

今日のまとめ!

 ✅ 喘息のクラスター分類として有名な、SARPコホート研究からの分類を紹介した。

 

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