以下、論文紹介と解説です。

Horino S, et al. Hyperresponsiveness to Boiled Egg Yolk in Early Life Leads to Prolonged Egg Allergy. Allergy, asthma & immunology research 2019; 11:433-7.

固茹でゆで卵黄で食物経口負荷試験を受けた121人が、3年後に加熱全卵が摂取できるようになっているかを比較した。

背景

■ 鶏卵は、日本の小児においてIgE依存性食物アレルギーの最も一般的なアレルゲンである。

■ 卵アレルギーの患者の多くは、低アレルゲン性である加熱卵黄を安全に摂取可能だが、重症アレルギー患者は加熱卵黄に対して即時型反応を示す。

■ 加熱卵黄に対し症状のある患者は、卵の耐性を獲得するのが困難であると仮定した。

■ この研究の目的は、加熱卵黄に対し反応のある患者の予後を調べることだった。

 

方法

■ 2012年1月から2013年12月までにゆで卵黄経口食物負荷試験(oral food challenge; OFC)を受けた121人の卵アレルギー患者のデータを後ろ向きに解析した。

 

結果

OFCの3年後に加熱全卵を摂取可能となった患者の率は、OFC陽性群15.4%、OFC陰性群75.8%だった。

論文から引用。固茹で卵黄が接種できなかった群は、3年後に加熱全卵の解除ができている可能性が有意に低い。

 

結論

■ 乳児期に加熱卵黄に対し陽性である場合は、小児の卵アレルギーが長引く可能性がある。

■ この知見は、免疫療法を必要とするに適切な集団の選択に役立つかもしれない。

 

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固茹で卵黄に含まれる卵白の蛋白量は、卵黄つなぎよりはるかに少ない。それでも症状がある場合は、寛解する確率が低いことが予想される。

■ ここで使用された卵黄は、よく使用される『卵黄つなぎ』ではありません。

■ 卵黄つなぎは、卵黄の周囲に卵白が1g程度付着するため、卵白の蛋白量にして209 mgであり、固茹で卵黄に混入する卵白の蛋白量は約7 mgになります。

■ そこまで微量でも症状がある場合は、重症である可能性が高いといえ、その後の寛解に影響するといえるでしょう。

 

今日のまとめ!

 ✅ 固茹で卵黄による負荷試験結果と予後の報告をご紹介した。

 

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