以下、論文紹介と解説です。
Burman J, et al. Children with wheat allergy usually tolerate oats. Pediatric Allergy and Immunology 2019. [Epub ahead of print]
重症の小麦アレルギーの病歴のある9〜16歳の15人を対象(負荷試験は13人)に、オーツ麦を摂取できるかどうかを負荷試験で確認した。
はじめに
■ 小麦は幼児によいてアレルギーを起こす5大食品の1つである。
■ そして約70%の小麦アレルギーは学童期までに軽快する。
■ 小麦アレルギーはしばしばオーツ麦に感作されるが、摂取したオーツ麦には耐えられるようである。
■ オーツ麦は非IgE介在性反応を起こすことが報告されており、よく知られたFPIESの原因であるが、オーツ麦に対するIgE依存性アレルギーは稀であり、重篤なIgE依存性反応に関する報告は少ない。
目的
■ 本研究の目的は、持続性小麦アレルギーでオーツ麦に感作されている小児が、オーツ麦の経口摂取に耐性があるかどうかを評価することだった。
方法
■ 重症の小麦アレルギーの病歴のある9〜16歳の15人を対象とした。
■ すべての小児は、小麦、グリアジン、オーツ麦感作されていた(特異的IgE抗体価≧0.35 kU/lかつ/または皮膚プリックテスト≧3mm)。
■ 13人がオープン経口小麦負荷試験を受けた(過去3カ月以内に小麦に対する重篤な反応がみられたため、2例には負荷試験を行わなかった)。
■ 全15名は42日以内にオープン経口オーツ麦負荷試験を受けた。
結果
■ 13人の小麦経口負荷試験は全て陽性であった。
■ 15回のオーツ麦経口負荷試験のうち14回は陰性であり、累積用量は蛋白として1600mgだった。
■ 一人の患者だけが累積用量600mg蛋白質でオーツ麦負荷試験として軽度の陽性反応となった。
結論
■ 小麦アレルギーでかつ、オーツ麦に感作された小児の多くはオーツ麦に耐性である。
■ オーツ麦に対する反応の病歴がなければ、オーツ麦は安全に家庭で検査できるだろう。
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とはいっても、なかなか難しいのが麦関連のアレルギーです。
■ 15人に対する負荷試験の結果ですので、例数を増やすとやはりリスクはあるだろうと思います。
■ 実際、(小麦アレルギーのあるお子さんで)大麦負荷試験でもたまにあきらかな症状を経験します。
■ この論文では『家庭で負荷試験できる』と結論していましたが、なかなか難しいのではとも思います。
■ とはいえ、リスクを事前に心得ておくことも重要です。ですので、マイナーな話かもしれませんが共有させて頂きます。
今日のまとめ!
✅ 重篤な小麦アレルギーがあっても、オーツ麦で症状がある場合はまれなようだ。