以下、論文紹介と解説です。
Leickly FE, et al. Peanut allergy: an epidemiologic analysis of a large database. The Journal of pediatrics 2018; 192: 223-8. e1.
ピーナッツアレルギーまたはピーナッツに感作されて受診した小児1070人を検討し、その特徴を確認した。
目的
■ ピーナッツアレルギーとその診断に伴って生じる親の懸念を評価する。
患者集団
■ このデータベースは、ピーナッツアレルギーまたはピーナッツに感作されてインディアナ大学医学部付属クリニックに2011年4月1日~2016年3月31日に受診した小児1070人のデータであった。
方法
■ 参加者は、初めての受診またはアレルギーのための再診時にアレルギー専門医によってリクルートされた。
■ ピーナッツアレルギーの懸念を持って来院したすべての家族に参加を勧めたが、適格患者のうち参加をしなかったのは1%未満だった。
■ アレルギー専門医は、登録のために様々な食物アレルギーに関する病歴を聴取し、統計学的データを家族に照合した。
■ 皮膚/血液検査の結果は、試験責任医師によって研究に組み入れられた。
結果
■ 1070人のうち、713人がピーナッツアレルギーがあり、357人が病歴および検査を用いて定義されるピーナッツに対する感作があった。
■ 最初の反応時の平均年齢は2.06歳であり、年齢の中央値は1歳、87.6%が3歳前に最初のアレルギー反応があった。
■ 65%がアトピー性皮膚炎を報告し、41%が喘息を報告した。
■ 3分の2がその他の食物アレルギーがあり、卵が最も多く、次いで牛乳だった。
■ 1070人の約半数が再診のために来院し、再診患者の21.3%がその後のアレルギー反応を報告し、それらの反応の3分の1がアナフィラキシーだった。
■ その後の反応の約3分の1は最初の反応よりも重篤であり、最初の反応が皮膚の反応であった場合が多かった。
■ 皮膚プリックテストの膨疹径はアレルギー症状と相関しなかった。
■ ピーナッツ特異的IgE抗体価はアナフィラキシーだった児で有意に高かった。
結論
■ 本研究では、ピーナッツアレルギーおよび/または感作が男児においてより一般的であり、最初のアレルギー反応の年齢の中央値は1歳であり、アトピー性皮膚炎は一般的な併存疾患であり、皮膚プリック試験の膨疹径はアレルギー反応の重症度とは相関しないという以前の報告と一致した。
■ 登録時に、白人患者ではピーナッツアレルギーの割合が高く低所得世帯の確率は低かった。
■ さらに、喘息が併存疾患である確率はアトピー性皮膚炎と比較して低く、再度の曝露によるより重篤な反応は、その後に反応がみられた患者の3分の1だった。
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ピーナッツアレルギーに対する予防的な開始時期は1歳以降だと遅いのかもしれない。
■ LEAP試験では、生後ハイリスクの生後4〜11ヶ月児に対する早期ピーナッツ摂取開始により、ピーナッツアレルギーの発症リスクを有意に下げたという結果が得られました。
■ この研究では、皮膚プリックテスト膨疹径ではアナフィラキシーの予測はできないとしていますが、LEAP試験のからの検討では、最初のピーナッツ開始時期のピーナッツの皮膚プリックテストの径が大きいほど、予防が難しくなることが示されています。
■ アトピー性皮膚炎の併発率が高いことから、アトピー性皮膚炎や感作の強さは、はやくピーナッツアレルギーを発症するリスクをあげ、はやく食べ始めても跳ね返される可能性が高いと言えましょう。
■ その傾向は卵では明らかですので、結局は皮膚の治療を早期にはじめて早く安定させることと、早期離乳食開始は両輪であろうということが考えられます。
■ ですので、『早く始める』の年齢は1歳を超えてくると、すでに早くではなくないであろうこと、そしてアトピー性皮膚炎は事前に予測因子としては大きいということは念頭にいれるべきでしょう。
■ こういった、予防のために事前のリスクを評価していく必要性は高まっているといえるでしょう。
■ もちろん、ピーナッツを粒で摂取することは推奨されません(クランチが入っているバターも同様)。
今日のまとめ!
✅ ピーナッツアレルギーに関し、最初の反応時の平均年齢は2.06歳、中央値は1歳、87.6%が3歳前に最初のアレルギー反応があった。
✅ 併存疾患としてアトピー性皮膚炎の6割以上にあり、ピーナッツ特異的IgE抗体価が高い場合は、2回目以降の反応はアナフィラキシーであるリスクが高くなった。