以下、論文紹介と解説です。
Tabar AI, et al. Double-blind, randomized, placebo-controlled trial of allergen-specific immunotherapy with the major allergen Alt a 1. J Allergy Clin Immunol 2019; 144:216-23.e3.
12~65歳のアレルギー性鼻結膜炎患者に対し、Alt a1を皮下投与する多施設ランダム化二重盲検プラセボ対照試験を実施し、12ヶ月間での有効性を評価した。
背景
■ 他のアレルゲン抽出物と比較した真菌アレルゲン抽出物を用いた免疫療法の有効性と安全性に関する研究はほとんど行われていない。
■ また、真菌であるAlternaria alternata.の主要アレルゲンAlt a 1に関するデータはない。
目的
■ A.alternataへの感作により発症した鼻結膜炎患者に対し、2種類の異なる用量のAlt a1による皮下免疫療法の有効性と安全性を評価した。
方法
■ 12~65歳の、コントロールされた喘息を伴う/伴わないアレルギー性鼻結膜炎患者に対し、Alt a1を皮下投与する多施設ランダム化二重盲検プラセボ対照試験を実施した。
■ プラセボ群および0.2μgもしくは0.37μgの用量のAltの実薬を投与された3群が含まれた。
■ 主要エンドポイントは、症状と投薬スコアだった。
■ 二次エンドポイントは、皮膚の反応性、血清IgE抗体価、IgG4抗体価 (Alt a1) であり、副作用はWAO(World Allergy Organization; 世界アレルギー機構)基準に準じて評価した.。
結果
■ 治療12ヵ月時点において、Alt a1 0.37μgではプラセボと比較して、症状と投薬スコア(の組み合わせ)が有意に低下した。
■ 2種類の実薬群では、プラセボ群と比較して皮膚反応性とIgE値のの低下とIgG4の上昇が認められた。
■ プラセボ群と比較して、両実薬群での安全性プロファイルは同様だった。
■ 重篤な副作用は報告されなかった。
結論
■ Alt a1による免疫療法は効果的で安全であり、1年間の治療後には鼻結膜炎に関連する症状と薬物使用量が減少した。
■ 臨床的な有益性は,皮膚反応性の低下、特異的IgE抗体価およびIgG4抗体価の増加と関連していた。
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真菌(アルテルナリア)に対する皮下免疫療法は、有効といえそうだ。
■ 真菌に対しても治療を考えられるような状況がでてきているといえましょう(もちろん、保険適用まではまだまだ先ですが)。
■ 日本ではなかなかアレルゲン免疫療法が普及するかは難しい面もありますが(先行したスギ・ダニにおいてすらコストが低いことから、新規薬剤の開発が進みにくい)、免疫療法は本来はさらにひろく使えるようになるべき治療法と考えられます。
今日のまとめ!
✅ 真菌に対する免疫療法も、開発が進んできているようだ。