以下、論文紹介と解説です。

Takaoka Y, et al. Effectiveness and Safety of Double-Blind, Placebo-Controlled, Low-Dose Oral Immunotherapy with Low Allergen Egg-Containing Cookies for Severe Hen's Egg Allergy: A Single-Center Analysis. Int Arch Allergy Immunol 2019:1-6.

重症の鶏卵アレルギー患者33人に関し、低アレルゲン化クッキー群とプラセボ群による経口免疫療法の有効性を比較した。

はじめに

■ 卵アレルギーの治療のための低用量経口免疫療法(oral immunotherapy; OIT)の有用性は不明だった。

 

目的

■ 低用量の鶏卵を含有した低アレルゲンクッキー(low allergen cookies; LAC)を使用したOITの有効性と安全性を評価する。

 

方法

■ 重症の鶏卵アレルギー患者33人を、LACによるOIT群 21人またはプラセボ群 12人のいずれかにランダム化した。

■ LAC群のうち2人は、OITを完了する前に脱落した。

■ プライマリエンドポイントは、各群における、OIT 4か月後に固ゆで卵白2 gを経口負荷試験(oral food challenge ; OFC)をした場合の陰性となるという良好な反応をした患者(good responder; G-R)だった。

■ 食物アレルギーの重症度のマーカーとしてのアナフィラキシー/累積タンパク質量(TS / Pro)の経口負荷試験Aichi総スコアも比較した。

■ OIT中の有害事象は、患者による食物日誌を使用して評価された。

 

結果

LAC群のG-R率は、プラセボ群よりも高かった(19人中7人 [37%] vs 12人中1人 [8%]; χ2検定; p = 0.077)

■ LAC群のOIT後のTS / Proは、プラセボグループよりも低かった(TS/Proスコアの中央値 44.2 vs 104.1; p = 0.059; Mann-Whitney U検定)。

■ OITの前後の閾値とTS / Proは、LACグループで大幅に改善した(それぞれp = 0.015; p = 0.027; Wilcoxonの符号付き順位検定)。

■ OIT中のLAC群には、1,938件の摂取イベントの症状の発生が99件記録された。

■ これらのうち、軽症が90件であり、重症の有害事象は発生しなかった

 

結論

■ LACを使用したOITは、OFC閾値を増加させる可能性があり、アレルギーの重症度を低下させ、比較的安全な治療法である。

 

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規模が少なく有意差は認めなかったものの、リスクが少なく免疫療法が成立した点が評価される点だと思います。

■ この報告の良い点は、『リスクが低かった』ということです。

■ 一方で、目標が『固ゆで卵白2g』になっており、解除を目指したものではないという点が弱点と言えるでしょう。

■ そして参加者が少なかったこともあり、有意差もついていません。

■ しかし、経口免疫療法の最初の導入として、『これを食べておいて』といえる方法になればいいなあとも思えました。

■ もちろん、次の段階の標準化にすすめるにはハードルもあることは確かです。今後の検討に期待したいですね。

 

今日のまとめ!

 ✅ 低アレルゲン化クッキーによる卵の免疫療法の有効性が報告された。

 

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