以下、論文紹介と解説です。

Rizk P, et al. Allergen Immunotherapy and Atopic Dermatitis: the Good, the Bad, and the Unknown. Current Allergy and Asthma Reports 2019; 19:57.

アトピー性皮膚炎に対するアレルゲン免疫療法の有効性に関し、メタアナリシスを実施した。

レビューの目的

■ アトピー性皮膚炎の治療における最近の進歩を鑑みて、本レビューはアトピー性皮膚炎患者におけるアレルギー免疫療法の有用性と有効性を要約することを目的とする。

■ そして、その機序、病態生理、費用対効果、臨床的な診療のための現在のガイドラインを検討する。

 

最近の知見

■ 先行研究はアレルギー性鼻炎や喘息のようなアレルギー状態におけるアレルゲン免疫療法の使用を支持するが、アトピー性皮膚炎における有効性を示唆するエビデンスは不十分である。

■ アレルゲン免疫療法は、ある集団において米国とEUの両方で長期的なコスト削減をもたらすことが示されている。

■ しかし、処方パターンと製造方法の違いのため、より大規模で一般化可能な規模の影響を検討することは困難である。

 

サマリー

■ 矛盾するメタアナリシスデータと結論は、アトピー性皮膚炎におけるアレルゲン免疫療法の有用性をより良く理解するためには、より良好な、より質の高い研究の必要性があることが強調される。

 

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現状では、アレルギー性鼻炎や気管支喘息に対するアレルゲン免疫療法の有用性は報告されているものの、アトピー性皮膚炎に関しては明らかではない。

アレルギー性鼻炎や気管支喘息に比較して、アトピー性皮膚炎へのアレルゲン免疫療法の有効性は低く、十分な証明がされているとはいえません

■ それは、アトピー性皮膚炎が単純なI型アレルギーの疾患とはいえないということにも由来すると考えられます。

■ アトピー性皮膚炎の機序は複雑で(わかっていないという意味ではありません)、アレルゲン免疫療法のみでは十分な効果がみとめにくいということでしょう。

■ 環境整備(や免疫療法)が必要ないという意味でもなく、私は皮膚の湿疹治療をしつつ環境要因に目をくばることが必要と考えています。

 

今日のまとめ!

 ✅ アレルゲン免疫療法のアトピー性皮膚炎に対する有効性は明らかではないようだ。

 

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