以下、論文紹介と解説です。
Blumchen K, et al. Efficacy, Safety, and Quality of Life in a Multicenter, Randomized, Placebo-Controlled Trial of Low-Dose Peanut Oral Immunotherapy in Children with Peanut Allergy. J Allergy Clin Immunol Pract 2019; 7:479-91.e10.
3~17歳のピーナッツアレルギー小児62人を、ピーナツ経口免疫療法群(ピーナッツ蛋白質維持量125~250mg)もしくはプラセボ群にランダム化し、16か月後の有効性と安全性を比較した。
背景
■ ピーナッツ経口免疫療法(oral immunotherapy; OIT)に関して、小規模プラセボ対照試験2件が発表されているのみである。
目的
■ 多施設二重盲検ランダム化プラセボ対照試験において、低用量ピーナッツOITの有効性、安全性、免疫学的指標、生活の質(QOL)、治療の負担(burden of treatment;BOT)を調べた。
方法
■ 食物負荷試験で証明されたIgE依存性ピーナッツアレルギーの3~17歳小児計62人を、ピーナツOIT群(ピーナッツ蛋白質維持量125~250mg)もしくはプラセボ群にランダム化(1:1)した。
■ プライマリエンドポイントは、OIT 16か月後の経口負荷試験(oral food challenge; OFC)で300mg以上のピーナツ蛋白質に耐性を示し、OIT前後での有害事象(adverse events; AE)、免疫学的変化、OLを測定した.。
結果
■ 最終的なOFCで、少なくとも300mgのピーナッツ蛋白質に耐性を示したのは、実薬群では31人中23人(74.2%)であったのに対し、プラセボ群では31人中5人(16.1%)だった(P<.001)。
■ 実薬群では31人中13人(41.9%)、プラセボ群では31人中1人(3.2%)が、最終的なOFCにおけるピーナツ蛋白質4.5 gの最高用量に耐性を示した(P<.001)。
■ AEに関連したドロップアウトの発生、客観的な評価によるAE数、重症度、治療において、群間で有意差はなかった。
■ ピーナッツOIT群では、プラセボ群と比較して、PBMCによるピーナッツ特異的IL‐4、IL‐5、IL‐10、IL‐2産生の有意な低下、ピーナッツ特異的IgG4抗体価の有意な増加やQOLの有意な改善を認めた(86%の小児がBOTを評価)。
考察
■ 低用量OITは、ピーナッツアレルギーの小児のために、有望かつ効果的、かつ安全な治療選択肢である。
■ そして、QOLの改善、低い治療負担(BOT)、耐性を示す免疫学的変化につながる。
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『少量維持』も一つの大きな選択肢といえましょう。
■ ピーナッツ蛋白質4.5gとなると15粒以上のピーナッツと言えますので、4割がかなり増量できるということになるでしょう。
■ 個人的には、ピーナッツに関しては1粒(=おおむね蛋白量で250mg)程度食べられれば、そのまま維持という方法も選択肢だろうと思っています。ただし、中断すると多くが摂取できなくなってくるとも言えます。
■ これは、『必要最小限の除去』にも通ずるのですが、皮膚のケアをしながら継続して食べていくことの重要性を指示しているとも考えられるでしょう。
今日のまとめ!
✅ ピーナッツアレルギーに治療において、『少量維持』によっても免疫療法としての効果はあるといえそうだ。