以下、論文紹介と解説です。

Tam HH, et al. Specific allergen immunotherapy for the treatment of atopic eczema: a Cochrane systematic review. Allergy 2016; 71:1345-56.

アレルゲンに感作された患者のアトピー性皮膚炎治療に関し、アレルゲン免疫療法の有効性を確認したランダム化比較試験12研究(733人)のシステマティックレビューを実施した。

背景

特異的アレルゲン免疫療法(Specific allergen immunotherapy; SIT)は有効なアレルギー治療である。

■ しかし、SITがアトピー性皮膚炎(atopic eczema; AE)に有効かどうかは不明である。

■ AE治療に対するSITの有効性と安全性を評価するためにシステマティックレビューを行った。

 

方法

■ 2015年7月までのデータベース、進行中の臨床試験登録、会議録を検索した。

アレルゲンに感作された患者におけるAE治療に関し、プラセボ/対照と比較した標準化アレルゲン抽出物を用いたSITのランダム化比較試験(Randomized controlled trials; RCT)が、適格であった。

 

結果

733人を含む12試験を同定した。

■ 介入には、ダニ(10試験)、イネ科植物花粉、他の吸入抗原にアレルギーのある小児/成人に対する皮下SIT(6試験)、舌下SIT(4試験)、経口SIT、皮内SITが含まれた。

■ バイアスリスクは中等度であり、主な懸念として追跡不能や非盲検化が多かった。

■ 主要評価項目について、3研究(208名)で有意差は報告されなかった。

■ 患者が報告した全体的な疾患の重症度の改善のRRは0.75(95% CI 0.45~1.26); 湿疹の症状のmean differenceは20点尺度において-0.74点(95% CI-1.98~0.5)だった。

■ 2研究(85名)で有意差が報告され、SITは全般的な疾患の重症度におけるRRを2.85(95% CI 1.02~7.96)改善し、痒みのmean differenceは、10点尺度で平均-4.2点(95% CI-3.69~-4.71)だった。

■ メタアナリシスは、強い統計的不均一性のために制限された。

■ いくつかのセカンダリアウトカムについては、メタアナリシスでSITの有益性が示され、例えば、医師の評価による湿疹の重症度の改善に対するRRは1.48(95% CI 1.16~1.88;参加者262人;6試験)だった。

■ 有害作用のエビデンスはなかった。

■ 全体的にエビデンスの質は低かった。

 

結論

■ SITがAE治療に有効であるという一貫したエビデンスを認めなかったが、エビデンスの質が低いために、SITがAE治療に役割があるかどうかを確立するにはさらなる研究が必要である。

 

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現状では、アトピー性皮膚炎に対するアレルゲン免疫療法の有効性は明らかではない。

■ アトピー性皮膚炎は、単純なI型アレルギーとは言えませんし、アレルゲン免疫療法が有効とはいえないようです。

■ しかし最近、高用量の舌下免疫療法で有効性を示したという報告もあります(Liu L, et al. Artif Cells Nanomed Biotechnol 2019; 47:3540-7.)。

■ ですので、まだ結論を出すのは早いでしょう。

 

今日のまとめ!

 ✅ アレルゲン免疫療法がアトピー性皮膚炎に有効かどうかは、いまだはっきりしているとはいえない。

 

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