以下、論文紹介と解説です。
Turner PJ, et al. Safety of Live Attenuated Influenza Vaccine in Children with Moderate-Severe Asthma. J Allergy Clin Immunol 2019.
中等症~重症の喘息児および再発性喘鳴を伴う就学前の小児478名(中央値9.3歳; 範囲2~18歳)に対し、弱毒化インフルエンザ生ワクチンを実施した後の喘息の増悪と喘息の重症度を比較した。
背景
■ 弱毒化インフルエンザ生ワクチン(Live attenuated influenza vaccine; LAIV)は、2歳からの小児におけるインフルエンザワクチン接種に推奨されている(管理人注; 現在日本では不活化ワクチンのみ)。
■ しかし、一部のガイドラインでは、喘鳴を誘発する可能性が懸念されるため喘息または再発性喘鳴児には使用しないよう推奨している。
目的
■ 中等症~重症の喘息児および再発性喘鳴を伴う就学前の小児におけるLAIVの安全性を評価する。
方法
■ 英国の専門クリニック14施設における前向き多施設オープンラベル第IV相介入研究である。
■ LAIVを管理下に投与し、質問票を用いて喘息症状を72時間、さらに4週間追跡した(ClinicalTrials.gov registration NCT02866942, EU Clinical Trials registration 2016-002352-24.)。
結果
■ 医師により喘息または再発性喘鳴と診断された478名(中央値9.3歳; 範囲2~18歳)をリクルートし、208名(44%)は高用量の吸入ステロイドを処方されており、122名(31%)は重症喘息だった。
■ 投与後4週間における喘息症状に有意な変化はなく(変化の中央値 0; P=.26; McNemarのテスト)、回帰モデルを用いたLAIV後の喘息悪化または悪化の予測において、試験開始時の喘息コントロール/症状の影響はなかった。
■ 47例(14.7%; 95% CI 11%~19.1%)が、予防接種後4週間で重症の喘息増悪を報告し、全身性ステロイドの短期投与を必要とした。
■ そして、4例はワクチン接種後72時間以内に発症したが、喘息重症度、試験開始時の肺機能もしくは喘息コントロールとの関連は認めなかった。
結論
■ LAIVは、喘息が重症またはコントロール不良に分類される小児を含め、喘息または再発性喘鳴のある児の多くにおいて忍容性が良好と考えられた。
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今後、点鼻によるインフルエンザワクチンが日本に導入されたときには参考になるかもしれない。
■ 点鼻のインフルエンザワクチンに関しては、最近、『不活化』の点鼻インフルエンザワクチンが申請されたそうです。
■ 今後、使用できるようになったときに、参考になる研究結果かも知れません。
今日のまとめ!
✅ 日本では、公式には使用されていない点鼻インフルエンザ生ワクチンに関し、重症気管支喘息児に使用しても重症喘息発作のリスクには影響が少ないようだ。