以下、論文紹介と解説です。

Mahakittikun V, et al. Effects of high and low temperatures on development time and mortality of house dust mite eggs. Experimental and applied acarology 2011; 55:339.

コナヒョウヒダニの卵に関し、様々な湿度、様々な時間、様々な温度に曝露し孵化するかどうかを調査した。

背景・方法

Dermatophagoides pteronyssinus(コナヒョウヒダニ)の卵の孵化を、様々な湿度(乾燥もしくは湿潤/直射日光)、様々な時間(0.5~5時間の範囲;7間隔)、様々な温度(−70~+70℃の範囲)に曝露して調査した。

■ 寒冷曝露は、4℃の家庭用冷蔵庫、−10℃の冷凍区画、−20、−40、−70℃の冷凍冷蔵庫を用いた。

■ それぞれの曝露時間ごとに、5組のスライドを用いた太陽光曝露を除き、スライド当たり30個の卵を含むスライドを3組使用した。

■ 曝露後、すべての実験群を開放作業台に室温 (約22℃) および相対湿度約75%で15日間保たれた。

■ 対照群は、スライドあたり10個の卵を用い、同様のプロトコールに従った。

■ 割れた殻から幼虫が出てきた場合に、卵は孵化したと考えられた。

 

結果

■ 結果として、40℃では、乾燥しても湿度があっても約80%の卵が生存していた。

50℃の直射日光もしくは乾燥した熱では、熱による死亡ポイント(thermal death point; TDP)はそれぞれ3時間もしくは5時間で生じた

60もしくは70℃であると、乾燥していても湿度があっても、TDPはほぼ瞬間的に生じた

■ 低温条件では−70℃の冷凍冷蔵庫のみがふ化防止に有効だった。

 

結論

■ 直射日光への3時間の曝露、60℃もしくは70℃の乾燥・湿度のある環境への最低30分間の曝露、−70℃への曝露は卵の孵化を妨げると結論できた。

■ この試験はダニの制御法として関連がある可能性がある。

 

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現実的には、天日干しでここまで温度を上昇させるのは難しいかもしれない。

天日干しがムダというわけではなく、乾燥環境をつくってダニの増加を抑える作用はあるでしょう。ですので、日常の方法として推奨しても良いと思われます。

■ 一方で、積極的に殺ダニするならば温度が60℃以上が必要であり、なかなか難しい感じがします。日常的に50℃以上まで温度をあげるような天日干しも困難かもしれません。

■ 個人的には、布団乾燥機を日常的に実施する、たまにタンブラー式乾燥機にかける、そして殺ダニしたら掃除機で吸い取る…が現実的かなと思っています

 

今日のまとめ!

 ✅ ダニの卵の孵化は、40℃では難しく50℃以上を要する。短時間での殺ダニは60℃以上が必要そうだ。

 

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