以下、論文紹介と解説です。
Avner DB, et al. Evaluation of different techniques for washing cats: quantitation of allergen removed from the cat and the effect on airborne Fel d 1. J Allergy Clin Immunol 1997; 100:307-12.
ネコ8匹を連続して洗浄し、空気中のネコアレルゲン(Fel d1)濃度が低下するかどうかを調査した。
背景と目的
■ 本研究の目的は、主要ネコアレルゲンFel d1の量と分布を調べ、ネコからのアレルゲンの除去と空気中のアレルゲン濃度の低下の両方に対する洗浄の有効性を評価することだった。
方法
■ ネコ8匹を連続して洗浄する前後に、30m3の部屋において4つのガラス繊維フィルターで空中サンプルを収集した(各フィルターで18 L / minで45分間)毛および入浴した水を一定量採取し、Fel d1含量について検査した。
結果
■ 水道水またはペットシャンプーによりネコの毛を3分間絞ると、Fel d1は平均191μg/g、ペットシャンプーにより平均245μg/gが除去され、ネコの毛のアレルゲン量は1μg/gmから1770μg/gm以上だった。
■ ネコアレルゲンがもっとも高い濃度で検出されたのは、首からの毛だった。
■ ネコを毛刈りすること基づく、ネコ全体の総Fel d1の推定値は3~142mg(平均 67mg)の範囲だった。
■ 洗浄したネコは、3時間後に空気中ののアレルゲンを減少させた。
■ 獣医の診療所で、3匹のネコを毎週5週間洗浄すると、空気中のFel d1濃度は平均44%減少した(n=15; p<0.02)。
■ 3匹のネコを、毎週3分間1か月間の洗浄すると、空気中アレルゲンは平均79%減少した(n=12; p<0.001)。
■ しかし、反復した洗浄をした後でも、次の洗浄前の空気中濃度はいつも減少しているとは限らなかった。
■ 洗浄により除去したFel d1の量は1~35mgまでさまざまだった。
結論
■ ネコは大量のFel d1をもっており、そのうちのごく一部(1時間あたり約0.002%)のみが空中に浮遊している。
■ 水を使用したネコの洗浄は、ネコから主要なアレルゲンを除去し、空気中に浮遊するFel d1の量を減少させうるが、その減少は1週間も維持されなかった。
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ネコの洗浄はネコアレルゲンを減少させうるが、その頻度から考えると現実的な方法とはいえないようだ。
■ 現実問題として、ネコを週2回も定期的に洗浄するのは相当困難でしょう。
■ そういう意味で、この研究結果をそのまま現実に持ってくることは難しいと考えています。
■ 免疫療法が使えるようになってくればいいのですが…ペットアレルギーに対する対応の難しさは本当に感じることですね。
■ 個人的には、『新しく飼い始めることは控える』と、『すでに飼っている場合は共存を目指す』を基本にしています。
今日のまとめ!
✅ ネコを洗浄するとネコアレルゲンは一時的に低下するが、その効果は1週間も続かないようだ。