以下、論文紹介と解説です。

Arroyave WD, et al. Impermeable dust mite covers in the primary and tertiary prevention of allergic disease: a meta-analysis. Ann Allergy Asthma Immunol 2014; 112:237-48.

ダニ不透過性マットレスカバーのアレルギー疾患に対する一次予防試験7件(3,461人)と三次予防試験17件(1,671人)の有効性を評価したメタアナリシスを実施した。

背景

■ 世界人口の最大40%がアレルギー疾患と診断されており、最も多いアレルギーはチリダニである。

ダニを通さない(不透過性)マットレスカバーは、アレルギー疾患の予防と症状軽減のための最初の治療法にしばしば使われる

 

目的

■ アレルギー性疾患の一次予防、そしてアレルギー性疾患症状の三次予防における単一の介入として行われる、不透過性マットレスカバーの有効性を評価するメタアナリシスを実施した。

 

方法

■ MEDLINE、Embase、Web of Science、CINAHLをシステマティックに検索した。

■ 一次予防試験7件(3,461人)と三次予防試験17件(1,671人)が組み入れ基準を満たし、レビューに含められた。

■ 記事のレビューと要約はすべて繰り返し2回行われた。

 

結果

■ アレルギー疾患の予防効果に対する、プールされた相対危険度は有意ではなかった。

プールされた相対危険度は、チリダニ感作において0.97(95%信頼区間[CI]0.62~1.51)、喘鳴において0.92(95%信頼区間0.81~1.05)、喘息において0.85(95% CI 0.70~1.02)、アレルギー性鼻炎において1.03(95% CI 0.90~1.19)、アレルギー性皮膚炎において1.05(95% CI 0.84~1.32)だった。

■ 同様に、症状の三次予防において、有意なプール標準化平均差は認められなかった。

プールされた標準化平均差は、ピークフローに対しては-0.03(95%信頼区間-0.15~0.09)、喘息症状スコアに対しては-0.06(95%信頼区間-0.32~0.20)、鼻症状スコアに対しては-0.39(95%信頼区間-0.88~0.11)だった

■ マットレスにおけるチリダニ量の低下には有意な影響が見られた(-0.79; 95% CI-0.98から-0.60)。

 

結論

■ アレルギー性疾患の一次予防もしくはアレルギー性疾患症状の三次予防における不透過性マットレスカバーの使用を支持するエビデンスは明らかではなかった。

 

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この結果は、『効果なし』と結論づけるには時期尚早かもしれません。

■ 環境整備のアレルギー疾患に対する効果は、『単一の方法では』有効性が低いのではないかという報告が増え、メタアナリシスでは差がないという結果もあります。

■ また、アレルゲンで汚染されているか、もしくは汚染されている環境を実際にどれくらいよくできたか、も評価が必要ではないかという考えかたが強まっています。

■ ですので、相反した結果があるのですね。ですので、『ダニ不透過性カバー』が有効ではないと結論づけるのは時期尚早と言えそうです。

 

※下記は帝人の『ミクロガード』です。高価ですので、購入時は医師にも相談してからにしましょう。

今日のまとめ!

 ✅ ダニ不透過性カバーのみによる環境整備介入は、アレルギー疾患の発症予防や治療効果に有意差がなかったというメタアナリシス結果だったが、結論を急ぐのは早いかもしれない。

 

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