以下、論文紹介と解説です。

Wang K, et al. Clinical efficacy and safety of cervical intralymphatic immunotherapy for house dust mite allergic rhinitis: A pilot study. Am J Otolaryngol 2019; 40:102280.

ダニによるアレルギー性鼻炎のある81人(年齢中央値36歳)に対し頸部のリンパ節に対する免疫療法を3回実施し、症状などを検討した。

背景

■ 先行研究では、従来の皮下免疫療法(subcutaneous immunotherapy; SCIT)に比べて時間のかからない選択肢として経リンパ節免疫療法(intralymphatic immunotherapy; ILIT)が安全で効果的であることを示している。

■ しかし、鼠径部リンパ節はプライベートな位置にあるため、鼠径部ILITは比較的不都合がある。

■ そこで、頸部リンパ節へのアレルゲン3回注射というILITの新しい方法を提案する。

■ この研究の目的は、成人のチリダニ誘発性アレルギー性鼻炎(allergic rhinitis; AR)に対する頸部ILITの臨床的有効性と安全性を判断することだった。

 

方法

■ 本研究では、症状スコア、生活の質スコア(quality-of-life scores; QOLS)、薬物スコア(レスキュー薬の使用)を治療前後で比較することにより、成人のチリダニ誘発性ARに対する頸部ILITの臨床効果と安全性を決定するための前向きコホート研究を実施した。

管理人注
抄録には記載されていませんが、最終的に81人(女性38人)(年齢中央値36歳; 18〜48歳)が検討されています。

■ その期間、副次的なイベントも記録された。

 

結果

■ 頸部ILITは中等症から重症の有害事象を誘発しなかった。

頸部ILITを受けている患者は、試験開始時と比較して、鼻症状、眼症状、生活の質が有意に改善した(P <0.001)

レスキュー薬の使用も少なくなった(P <0.001)

 

結論

■ この、ヒト初の臨床研究では頸部ILITが安全であることが示され、3回の注射後にアレルゲンに対する耐性が誘導された。

 

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経リンパ節免疫療法は、まだまだこれからの検討を要する治療法ですが、今後注目されてくると思われます。

■ もちろん、経リンパ節免疫療法は、まだまだ研究中の治療法です。

■ もし臨床応用されたとしても、『リンパ節』に対する注射ですので、頸部の解剖学に精通した耳鼻科医の治療方法になりそうですね。

■ なお、一部クリニックなどで実施されている『1回注射したら、1シーズン効く』と謳った治療は、免疫療法ではありません。

■ デポステロイド(ケナコルトA)という、超長時間作用性のステロイドの筋肉注射と考えられます。副作用の多い治療法ですので、個人的には反対の意見です。

 

今日のまとめ!

 ✅ 頸部リンパ節対する、経リンパ節免疫療法の初臨床試験を紹介した。

 

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