以下、論文紹介と解説です。

Chinthrajah S, et al. Phase 2a randomized, placebo-controlled study of anti–IL-33 in peanut allergy. JCI insight 2019; 4.

成人ピーナッツアレルギー患者20人を、エトキマブ(抗IL-33抗体)群15人、プラセボ群5人にランダム化し、6週間後の脱感作率を比較した。

背景

■ IL‐33はアレルギー疾患の参加者に高いレベルで認められ、アレルギー反応を伝達すると考えられている。

■ エトキマブは抗IL-33生物学的製剤であり、これまで多くの臨床試験で良好な安全性と好ましい薬力学的特性を示した。

 

方法

■ 6週間のプラセボ対照第2相試験において、成人ピーナッツアレルギー患者を脱感作するため、エトキマブの単回投与の安全性と性能を評価した。

参加者はエトキマブ群 15人またはプラセボ群 5人のいずれかを投与された。

■ 臨床t的検査として、15日目と45日目に経口食物負荷試験と皮膚プリックテストを実施し、IgE値およびex vivoでのピーナッツにより刺激されたT細胞サイトカイン産生を測定するために血液サンプルを採取した。

 

結果

15日目と45日目の食物負荷試験(この論文で定義された食物負荷試験の結果である、累積量275mgのピーナッツタンパク質に耐性)におけるエトキマブ群vsプラセボ群の有効性は、それぞれ15日目で73% vs 0%(P=0.008)、45日目で57% vs 0%(ns)だった。

■ エトキマブ群はプラセボ群と比較して有害事象が少なかった。

■ CD4陽性T細胞におけるIL‐4、IL‐5、IL‐9、IL‐13、ST2値は、ピーナッツにより刺激されたT細胞活性化(15日目のIL-13、IL-9; P=0.036)に対し,実薬vsプラセボ群で低下し、ピーナッツ特異的IgE抗体価は実薬vsプラセボ群で低下した(15日目; P=0.014)。

 

結論

■ フェーズ2aの結果は、エトキマブが安全で忍容性が良好であること、そしてエトキマブの単回投与がピーナッツアレルギーを脱感作し、おそらくアレルギーに関連した有害事象を減少させる可能性があることを示唆する。

 

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6週間という短期間で、『脱感作』にはいたったが…

■ 安全性を確保するために、生物学的製剤を併用して食物アレルギーの治療に結びつけようという試みは、今後も増えてきそうです。

■ しかし、先にあげたオマリズマブの効果も、中断すると再燃しやすくなることが報告されています。

■ これらの生物学的製剤で食べられるようになっても長続きするかどうかを検討しなければならないこと、またこれらの薬剤は高価になりがちであり、長期間使用するのは難しいかもしれないという問題もあります。

 

今日のまとめ!

 ✅ エトキマブを始めとした生物学的製剤が、食物アレルギーの治療の有効であるという報告が増えている。

 

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