以下、論文紹介と解説です。

Gradman J, et al. Relationship between specific IgE to egg components and natural history of egg allergy in Danish children. Pediatric Allergy and Immunology 2016; 27(8): 825-30.

卵アレルギーのある小児130人に対し、経過中に検査した287回の食物負荷試験・287回の血液検査を検討し、耐性の予測に有効かを検討した。

背景

■ 大部分の小児卵アレルギーは、時間の経過とともに耐性する。

■ しかし、耐性を予測する良い指標は存在しないため、達成するために卵の負荷試験を数多くこなさなければならないかもしれない。

 

目的

■ 卵白、オボムコイド、オボアルブミン、コンアルブミン、リゾチーム、卵黄に対する特異的IgEを繰り返し検査することが、小児の卵アレルギーにおいて再度負荷試験を実施する際の検査の特異性を改善することができるかどうかを調査した。

 

方法

■ 卵の経口食物摂取の結果や特異的IgE抗体価は、8年間にわたるアレルギーセンターに紹介された小児において評価された。

■ 卵アレルギーのある小児は、再度負荷試験を実施し、特異的IgE抗体価は1年に1回測定された。

 

結果

■ フォローアップ期間中(中央値 26ヶ月)、130人に対し、287回の食物負荷試験とそれに対応する287回の血液検査が実施された。

■ 130人のうち、99人が卵アレルギーであり、82人が再度、負荷試験を実施された。

■ 最初の診断のための負荷試験に基づき、卵に対する感作と卵アレルギーを鑑別するための特異的IgE抗体価の曲線下面積(area under the curve; AUC)推定値は中程度であり(最大0.83)、臨床的意義のある診断点は得られなかった。

■ 試験開始時の特異的IgE抗体価は、耐性・持続した卵アレルギーの間に有意差はなかった。

■ しかし、長期的には、卵に対する寛容の獲得は、卵白・オボムコイド特異的IgE抗体価の低下と関連していた。

オボムコイド特異的IgE抗体価が上昇しているすべての例において、再負荷試験は陽性だった。

 

結論

■ 卵アレルギーのある児に対して再度負荷試験を実施する場合は、特異的IgE抗体価の経過を検討するべきである。

 

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絶対値だけでなく、特異的IgE抗体価の”低下傾向”も確認する必要性がある。

■ 特異的IgE抗体価の低下には、皮膚の状態、『必要最小限の食物除去』をしているか、環境中の卵蛋白の量など、多くの因子が影響しそうです。

■ それらの多面的な介入により、特異的IgE抗体価がさがってくれば、積極的に負荷試験…という方法が良いといえるでしょう。

 

今日のまとめ!

 ✅ 卵アレルギーの寛解の予測には、特異的IgE抗体価の絶対値だけでなく『低下傾向』も重要である。

 

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