以下、論文紹介と解説です。
Jackson KT, Dennis CL. Lanolin for the treatment of nipple pain in breastfeeding women: a randomized controlled trial. Matern Child Nutr 2017; 13.
乳頭の痛みがある授乳中の女性186人を、ラノリン使用群もしくは通常ケア群にランダム化し、4日後の乳頭の痛みの差があるかどうかを確認した。
背景
■ 乳頭の痛みと障害は、授乳中の女性によくみられ授乳の結果が否定的になることと関連している。
■ 医療従事者は、乳頭の疼痛/障害の治療にラノリンの使用をしばしば推奨するが、乳頭痛および授乳の結果に対するラノリンの有効性を評価したランダム化比較試験はない。
目的
■ 本研究の目的は、乳首が傷害された、授乳中の女性における乳頭の痛みに対するラノリンの効果を評価することだった。
方法
■ カナダのオンタリオ州、ハミルトンの三次医療病院で、ランダム化シングルブラインド対照比較試験が実施された。
■ 乳頭の痛み/障害があることが確認された授乳中の女性186人を、ラノリン使用群(介入群; 93人)または通常ケア群(対照群93人)にランダム化した。
■ プライマリアウトカムは、Numeric Rating Scaleで測定したランダム化した4日後の乳頭の痛みだった。
■ さらに、Short Form McGill Pain Questionnaireで測定した乳頭の痛み、授乳期間/完全母乳、授乳時の自己効力感、通常のケアと比較したラノリン治療に対する母の満足度などの結果が得られた。
結果
■ その結果、ランダム化された4日後の平均の疼痛スコアに有意な群間差は認められなかった。
■ 両群において、ランダム化した7日後までに臨床的に妥当な乳頭の痛みの低下があった。
■ 通常のケア群と比較し、ラノリン群の女性の方が治療に有意に満足していると報告した。
■ 他のセカンダリアウトカムについて、群間差は有意でなかった。
結論
■ より多くの女性がラノリンの使用に満足していたが、乳頭の痛みや障害に対するラノリンの使用は、乳頭の痛みの軽減や授乳結果の改善には効果がなかった。
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この結果は、ラノリンが意味がないという意味ではありません。
■ ラノリンは、一般的な治療と比較して効果の差はなかったということのようです。
■ ラノリンはラノリンアルコールとして『ジャパニーズスタンダードアレルゲン2015』に含まれ、かぶれやすいともいえます。
■ ですので、かぶれに配慮しながら考えながら使うという方針でいいのかもしれません。
今日のまとめ!
✅ 乳頭の痛みに対するラノリンは、通常ケアと効果の差はないが、満足度は高くなった。