以下、論文紹介と解説です。

Jalali MM, Soleimani R. Add-on probiotics in patients with persistent allergic rhinitis: A randomized crossover clinical trial. 2019; 129:1744-50.

計152人の持続性アレルギー性鼻炎患者(30.1±7.6歳)を、プロバイオティクス+ブデソニド群(BP群)・プラセボ+ブデソニド群にランダム化して8週間投与してクロスオーバーし、有効性を比較した。

目的

アレルギー性鼻炎(allergic rhinitis; AR)に対する現在の薬剤は、生活の質(quality of life; QoL)に影響する可能性のある望ましくない副作用をある。

■ これらの患者ではプロバイオティクスが代替となる可能性がある。

■ 本研究の目的は、患者の症状とQoLに対し、プロバイオティクスを追加した場合の影響を評価することだった。

 

方法

■ このランダム化クロスオーバー試験には、持続性AR患者が参加した。

■ 各被験者は、プロバイオティクスのサプリメントとブデソニド群(BP群)、プラセボとブデソニド 群(B群)に8週間投与し 、さらにその後8週間、逆の群にクロスオーバーされた

使用されたプロバイオティクスは、
商品名Familact (Zist Takhmir Co., Tehran, Iran)という、イラン製の複数のプロバイオティクスが含まれたサプリメントのようです。

■ 8週間のウォッシュアウト期間が設けられた。

主要評価項目は、簡易型36項目健康調査(Short Form 36-Item Health Survey; SF-36)スコアの変化だった。

管理人注; SF‐36は8テーマの健康関連項目を測定した、QoLの診断ツールです。

■ 二次評価項目は、Sinonasal Outcome Test-22 (SNOT-22) 、アレルギー性鼻炎/喘息試験テスト(Control of Allergic Rhinitis and Asthma Test; CARAT)アンケートによって評価した。

 

結果

計152人の参加者(30.1±7.6歳)が研究を完了した。

両群のSF‐36スコアは試験開始時と比較して改善し、BP群はB群よりも効果的だった。

■ SF‐36の身体的側面のQOLサマリースコアに対するCohen's dと治療に必要な数は、それぞれ0.40と10.77だった。

■ 精神的側面のQOLサマリースコアに対するこれらの値は、それぞれ0.33と12.61だった。

■ また、BP群のSNOT‐22とCARATのスコアは、より大きく低下した。

 

結論

■ 本研究は、ブデソニドにプロバイオティクスを追加することで持続性AR患者のQoLを有意に改善することを示した。

■ しかし、これらの患者の臨床状況は一般集団におけるAR患者を十分に代表していない可能性がある。

■ さらなる研究が推奨される。

 

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プロバイオティクスの臨床評価は難しく、『○○菌が良い』と短絡的に考えることは難しい。しかし、『試してみても悪くはない』とはいえるだろう。

■ この手の報告に関しての問題は、『どの菌株を』『どれくらいの量』『どれくらいの期間』使えばいいかをはっきりさせることが難しいことが問題点として指摘できます。

■ スギ花粉症の時期に、『○○菌がいい』というようなCMがやたら増えます。

■ しかし、その菌が本当に良いのか、そのひとに向いているのかを判定するのは、永遠の課題なのですね。

■ 私は、『○○菌のヨーグルトを食べたほうがいいでしょうか?』とか、『○○菌のサプリを飲んでいいですか?』という質問を受けた場合は、『きちんとエビデンスのある治療に追加するような程度の気持ちで使って、効けばうれしいですね。でも、あまり高価なものは手を出さなくていいと思いますよ』とお答えしています。

■ なお、私もヨーグルトは大好きで、毎日のように朝食べています(関係ないですね)。

 

 

今日のまとめ!

 ✅ 点鼻ステロイド薬に、複数の混合プロバイオティクスを追加すると、より症状が改善したようだが、日本人にそのまま使用できるかどうかはわからない。

 

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