以下、論文紹介と解説です。

Ralston S, Roohi M. A randomized, controlled trial of nasal phenylephrine in infants hospitalized for bronchiolitis. J Pediatr 2008; 153:795-8.

ウイルス性細気管支炎で入院した生後3週~12か月の乳児41名を、0.5%フェニレフリン点鼻群、生食群の2群にランダム化し、30分間の改善効果を検討した。

目的

■ 鼻閉に対する薬学的治療、特にαアドレナリン性点鼻薬は、細気管支炎の乳児における呼吸窮迫の他覚的な症状を改善させるという仮説を検討する。

 

試験デザイン

■ ウイルス性細気管支炎で入院した生後3週~12か月の乳児41名を、0.5%フェニレフリン点鼻局所剤の二重盲検プラセボ対照試験に登録した。

管理人注;仰臥位にして、各鼻孔にスポイトから0.5%フェニレフリン0.1 mLを投与し、プラセボ群には0.9%生理食塩水を各鼻孔に0.1 mL/naresを投与したそうです。

■ 主要評価項目は酸素飽和度の変化だった。

■ 二次評価項目は呼吸スコアとバイタルサインの変化だった。

 

結果

両群間の転帰尺度に、統計学的有意差は認められなかった。

■ 有害事象は認められなかった。

参加者は研究の30分間で、全体として酸素飽和度の平均1.6%の増加(P=.002)と呼吸スコアの0.5ポイントの改善(P=.003)を示した。

 

結論

■ フェニレフリンの点鼻による使用は、急性細気管支炎で入院した乳児の臨床状態を、短期的に改善させなかった。

 

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血管収縮薬の点鼻は、特に低年齢での副作用報告も多い。そのため、よほど考えて使用する必要があるだろう。

■ まれに、乳児期に対しても生理食塩水で希釈したトラマゾリン(トークなど)を使用されることもあるようですが、私は日常診療で使用することはありません。

血管収縮薬は、『薬剤性鼻炎』を起こすことがあります(Treatments in respiratory medicine 2005; 4:21-9.)(市販の点鼻薬の多くには血管収縮薬が含まれており、注意を要します)。

■ そして小児においては特に低年齢での傾眠の副作用が多いともされています(Journal of pediatrics 1956; 48:157-64.)。

■ もちろん、耳鼻科医の先生方のこれらの使用を否定するものではありませんが、有効性が低いのであれば、無理をして使うものでもないかな…と私は考えています。

■ やはり、鼻汁吸引を進おすすめしたいところですね。

 

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今日のまとめ!

 ✅ ウイルス性細気管支炎時の血管収縮薬の点鼻は、短時間での改善効果を示さないようだ。

 

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