以下、論文紹介と解説です。

Keet CA, et al. The natural history of wheat allergy. Annals of Allergy, Asthma & Immunology 2009; 102:410-5.

小麦に対する症状があった既往があり小麦IgE検査が陽性である103人に関し、いつ小麦アレルギーが軽快したかを前向きに後ろ向きに検討した。

背景

■ 小麦アレルギーは小児における最も一般的な食物アレルギーの1つであるが、その自然歴に関する報告はほとんどない。

 

目的

■ 小麦アレルギーの自然経過を明らかにし、小児の小麦アレルギーの大規模集団における転帰の予測に役立つ因子を特定することを目的とした。

 

方法

■ 小麦に対する症状があった既往があり、小麦IgE検査が陽性である患者を本研究に含めた。

■ 組み入れ基準を満たした103人の病歴、検査結果、最終的な転帰が記録された。

■ 小麦アレルギーの寛解は、食物負荷試験の結果に基づいて決定された。

■ Kaplan-Meier 曲線を作成し、小麦アレルギーの軽快を示した。

 

結果

寛解率は4歳で29%、8歳で56%、12歳で65%だった。

小麦IgE抗体がが高いほど、転帰はより不良だった

小麦アレルギーの予後。小麦特異的IgE抗体価が高値だと、予後が悪化する。

■ 記録された小麦特異的IgE抗体価のピーク値は、小麦アレルギーが持続する有用な予測因子だった(P<.001年)が、小児の大部分は小麦特異的IgE抗体価が高値でも小麦アレルギーを克服した。

 

結論

■ 参加集団における小麦アレルギーの軽快年齢の中央値は約6歳半である。

■ ごく一部の患者は、青年期まで小麦アレルギーが持続する。

 

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卵や乳と同様、初期の特異的IgE抗体価が高いほど、小麦アレルギーの寛解率が低くなる。

■ 先行研究の卵や乳ほどではないにせよ、小麦の寛解に関しては、初期の重症度がその予後にも影響するといえそうです。

■ また、卵アレルギーの予後と同様、湿疹のあるなしも寛解までの期間に有意に影響することが本文には述べられており、湿疹の改善も重要となりそうです。

 

 

今日のまとめ!

 ✅ 小麦アレルギーは、6歳半までに半数が寛解するが、初期の特異的IgE抗体価が高い、湿疹があるなどあると寛解率が低くなる。

 

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