以下、論文紹介と解説です。

Lin C, et al. Comparison of throat swabs and sputum specimens for viral nucleic acid detection in 52 cases of novel coronavirus (SARS-Cov-2) infected pneumonia (COVID-19). medRxiv 2020:2020.02.21.20026187.

新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のPCR検体において、咽頭スワブ(咽頭拭い液)と喀痰のどちらが検出率がよいかをペア検体で確認した。

背景

■ 2019年12月、中国の武漢で新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染肺炎(COVID-19)が発生した。

リアルタイム逆転写ポリメラーゼ連鎖反応アッセイ(real-time reverse transcription polymerase chain reaction assay; qRT-PCR)に基づく診断テストが確認の主な手段であり、検体採取は診断を見逃しやすい咽頭スワブだった。

■ より検出効率や精度を高めうる検体を求める必要がある。

 

方法

■ 咽頭スワブと喀痰のペア検体を54症例から採取し、RNAを抽出し、qRT‐PCR分析により2019nCoV(SARS-CoV-2)について検査した。

 

結果

喀痰や咽頭スワブから採取した検体からの2019nCoVの陽性率は、それぞれ76.9%および44.2%だった。

qRT-PCRアッセイを用いたウイルス核酸の検出において、喀痰検体は咽頭スワブよりも有意に陽性率が高かった(P=0.001)

 

結論

■ 喀痰検体からの2019nCoVの検出率は咽頭スワブより有意に高かった。

■ つまり、喀痰を呈する患者においては2019nCoVの検出に喀痰が有益であることを示唆する。

■ 結果は、検体の選択を容易にし、診断の正確性を増加させることができる

 

スポンサーリンク(記事は下に続きます)



 

COVID-19に関するPCRの話題があるが、検出率は決して高くはない。

■ あくまで、今後、自分自身がCOVID-19を疑ったときに、どのように検体を採取するかの参考として読みました。

■ しかし、結局はPCR検体による検出率は決して高くありません。

■ 小児では、喀痰をとることも難しいでしょうし、どちらにせよこの検出率だと、半分から7割程度しかつかまえられないことになります。

■ だからPCRが無駄な検査、ではありません。しかし、使い方をあやまってはいけませんしインフルエンザの迅速検査のような簡単な検査ではないことも念頭に置く必要があるでしょう。

 

今日のまとめ!

 ✅ 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のRT-PCRの検出率は高くはない。

このブログは、私の普段の勉強の備忘録やメモであり、基本的に医療者向けです。
知識の共有を目的に発表しておりますが、追加して述べる管理人の意見はあくまでも個人としての私見です。所属するいかなる団体の立場も代表するものではありません。予めご了承いただきたく存じます。

このブログの『リンク』は構いません。しかし、文章やアイデアを盗用・剽窃・不適切な引用したり、許可なくメディア(動画を含む)に寄稿することはご遠慮ください。クローズドな場での勉強会などに使用していただくことは構いません。
Instagram:2ヶ月で10000フォロワーを超えました!!!

Xでフォローしよう