以下、論文紹介と解説です。
Nagakura K-i, et al. Low-dose-oral immunotherapy for children with wheat-induced anaphylaxis. Pediatric Allergy and Immunology 2020 [Epub ahead of print]
5~18歳の小麦アナフィラキシー歴のある児に対し、小麦蛋白質53mg(うどん2g)を1年間継続して食べると、食べられる量は増加するか?
背景
■ 小麦アナフィラキシー患者における経口免疫療法(OIT)の使用は十分に検討されていない。
■ 小麦依存性アナフィラキシー患者に対する低用量OITの有効性を評価した。
方法
■ 資格のある被験者は小麦アナフィラキシー歴のある5~18歳で、小麦蛋白質53mg(うどん2g)に対する経口食物負荷(OFC)により症状を確認した。
■ 5日間のビルドアップフェーズのため入院し、OIT群の患者は徐々に小麦摂取量を53mg/日に増量し、その後家庭で毎日53mgを摂取した。
■ 1年後、OITを2週間中止後に53mg(うどん2g)、400mg(うどん15g) のOFCを受けた。
■ ヒストリカルコントロール群は同時期に小麦を除去した患者と定義した。
結果
■ OIT群(16人)の小麦/ω-5グリアジン特異的免疫グロブリンE(IgE抗体)抗体価の中央値は、それぞれ293および7.5 kUA/Lだった。
■ 脱落した患者はいなかった。
■ 1年以内にOIT群の88%が、小麦蛋白質 53mgに達した。
■ OIT群と対照群(11人)において、 1年後に小麦蛋白質 53mg(うどん2g)のOFCを、負荷群69%/除去群9%が通過し、小麦蛋白質400mgを、負荷群25%/除去群0%が通過した(それぞれP=.002/0.07)。
■ OIT群では、小麦/ω-5グリアジン特異的IgE抗体価は1年でそれぞれ154と4.1 kUA/Lに有意に減少し、小麦/ω-5グリアジン特異的IgG・特異的IgG4抗体価は1か月で有意に増加した。
■ アナフィラキシーは7回発症し、アドレナリンは使用せず速やかに改善した。
結論
■ 小麦アナフィラキシーのある患者に対して、低用量OITは安全に免疫学的変化を誘導し低用量小麦に対する脱感作を達成し、400mg用量に脱感作する可能性もがある。
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小麦を継続して同じ量を摂取しても、ある程度は摂取量が増えるかもしれない。ただし、それでもアナフィラキシー歴がある場合にはリスクはある。
■ 卵やピーナッツと同様、同量で継続しても、ある程度までは小麦の摂取できる量が増やせるといえるでしょう。
■ 思ったほどには増量できる率は多くはないながら、必要最小限の除去を一歩すすめた方法と言えそうです。
■ しかし、1年間摂取を続けても、2週間中断すると2割程度食べられなくなるともいえますし、アナフィラキシーもゼロではないことも注意する必要性があります。
今日のまとめ!
✅ 小麦も、卵やピーナッツと同様、継続して同量をたべると摂取できる量や安定して食べられる率があがるようだ。