エモリエントの定期塗布により、アトピー性皮膚炎を予防できるか?
■ 保湿剤によるアトピー性皮膚炎の発症予防は、すでに100名強のランダム化比較試験で3割~5割程度減らすことができるのではないかという結果が発表されています。
■ その結果を補強するために、大規模な介入試験が行われました。
■ その結果は、意外なものでした。
※2020/3/10 下記の注釈追加と、解説の読みにくかった部分を修正しました。
ひとつ大きな注意点として、『アトピー性皮膚炎の治療としての保湿剤の塗布』を否定するものではないということです。このことは、論文でもはっきり述べられています。
ですので、アトピー性皮膚炎に対する普段のスキンケアは続けてまったく問題ありません。
アトピー性皮膚炎の発症後の皮膚の感染症も、皮膚が安定している方が少ないこともはっきりわかっています。
この論文でわかったことを、ざっくりまとめると?
病歴がハイリスクの新生児1394人を、1日1回以上のエモリエント群693人、一般的なスキンケアのアドバイス群 701人に1歳までランダム化し、2歳時点のアトピー性皮膚炎の累積発症率を比較したところ、
✅ 保湿剤群における乳児598人中139人(23%)、対照群の乳児612人中150人(25%)にアトピー性皮膚炎が認められた(調整後相対リスク0.95[95%CI 0.78~1.16]、p=0.61;調整後リスク差 –1.2%[–5.9~3.6])。
✅ 1歳までの、こどもあたりの平均皮膚感染の回数は、保湿剤群で0.23回(SD 0.68回)であったのに対し、対照群では0.15回(0.46回)であり、調整発生率比 1.55(95%CI 1.15~2.09)だった。
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