以下、論文紹介と解説です。

James C, et al. HEPA filtration improves asthma control in children exposed to traffic-related airborne particles. Indoor Air 2020; 30:235-43.

喘息の小児40名を、HEPAフィルター搭載の空気清浄機の使用群・プラセボフィルター使用群にランダム化して4週間ごとにクロスオーバーした結果を比較した。

背景

■ 交通に関連した浮遊粒子は喘息罹患率と関連する。

 

目的

■ 本研究の目的は、交通に関連した粒子の濃度に対する高効率粒子空気濾過(high‐efficiency particulate air; HEPA)の効果と、その結果として小児喘息への影響を評価することだった。

 

方法

■ この二重盲検プラセボ対照クロスオーバーデザインによる検討に、喘息の小児40名が登録された。

■ HEPA空気清浄器またはプラセボ「ダミー」を参加者の家に4週間置き、1か月の使用しない期間を置いてから、もう一方の治療群に4週間クロスオーバーした。

■ 各介入群の介入前および介入終了時に、空気のサンプリングおよび喘息コントロールスコア(ACQ)生活の質スコア(AQLQ)の測定を含む健康関連のアウトカムを完了した。

 

結果

交通に関連した粒子の室内濃度はHEPA処理で有意に減少したが、「ダミー」処理では減少しなかった

試験開始時において喘息のコントロールが不良で生活の質が低い参加者では、ACQとAQLQスコアはHEPA治療後に有意に改善した( それぞれ、1.3 → 0.9; P = .003 / 4.9 → 5.5; P = .02 )

論文から引用。もともと喘息コントロールが不十分な群では有意に改善した。

 

結論

■ この研究では、HEPAによる空気清浄機は、コントロール不十分な小児喘息における臨床的なアウトカム・生活の質の改善と関係した。

 

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空気清浄機に関しては、『環境汚染度が高く』『喘息コンロールは不十分な』ケースに有効といえるかもしれない。

■ 患者さんに空気清浄機に関して聞かれたときは、有効性に関してははっきりしていないことをお話しした上で、今のところ『使ってもよい』程度の話にとどめています。

■ 少なくとも、ダニを吸引してくれたりはしませんし、寝具をきれいにもできないでしょう。

■ ただし、交通量が多い地域でPM2.5が多かったり、スギ花粉の時期であったりすれば、効果がある可能性が高くなってきます。

■ 環境整備に関しては、『ダニが多い環境』『PM2.5が高い環境』といった、その環境を評価した上での対応が必要になってくるのだろうと考えています。

 

ブルーエアの空気清浄機『Classic 490i』のレビュー
この先は空気清浄機のレビューです。
もともと、私はブルーエアの空気清浄機を愛用していて、ずいぶん前に『Blue Pure 221』をツイッターで紹介していました(もちろん自腹です)。
ブルーエア 空気清浄機 Blue Pure 221 Particle 47畳 360度吸引 花粉 200168
ブルーエア(Blueair)
Blue Pure 221はフィルターを交換しながら使用継続中で愛用しています。
そんな呟きをみていたブルーエアの方が、新機種(Classic 490i)をモニターで使用してみませんかとおっしゃってくださいました。
ということで、この先はCOI(利益相反)があります。
(こういうパターンは今回が初ケースです。COI的なものがあれば今後も明らかにしますが、ツイッターを含め、商品の紹介は自分自身の”推し”のみで決めています)

もともと個人的にブルーエアのファンなのと、高価でちょっと手が出しにくかった空気清浄機ですのでレビューに挑戦してみます。
結論としては、かなりイイです

 

Classic 490iは、Blue Pure 221と比較すると、正面面積はかなり大きめです。

ただ、厚みはBlue Pure 221より薄め。
壁に沿わせると、日本製の大型の空気清浄機とそれほどかわらない設置面積です。
ブルーエアのシリーズがいいところは、フィルターの交換や脱着が簡単なことです。
Blue Pure 221も容易ですが、Classic 490iも引き出し式で簡単です。

動作音は基本的にすごく静か
です。『基本的に』といったのは、運転速度が3段階になっているのですが、2段階目までは静かで、3段階目で急に音が大きくなるからです。
3段階目は緊急時につかうモードといえそうです。
Classic 490iは本体でも操作できますが、アプリによって動作や室内の汚染度のチェックができます。
我が家は、PM2.5はもともと少ないみたいです。
ただ、VOC(揮発性有機化合物)の濃度がすごく上下することがわかりました。
夕飯時とかはとくに大きく上がるみたいです。
スギ花粉症の時期なので、締め切っていることも原因かと思われます。
こういうデータは結構好きです。
良いところ
Classic 490iはレガシーな機構としての、空気清浄機自体の性能やデザイン、使い勝手がとても良好なマシンです。
これはBlue Pure 221も同様で、基本性能の高さを感じます。
空気清浄機能に特化しているだけあり性能は、高いと思います。
静音性が良好です。スチール製であり重量があることも影響していると感じます。
スチール製であることで、頑丈であり、そう簡単には壊れないだろうという安心感があります。
センサーでの自動運転ではないかわりに、室内の空気の汚染度をアプリで確認できる機能は好印象です。
→ 2020/3/7修正 ご指摘をいただきました。Classic 490iは『オートモード』でのセンサー感知→自動運転モードがありました!
LEDを消すことも可能ですので、寝室にも良いでしょう。
気になるところ
残念ながら、アプリの使い勝手はもうひとつです。
日本語化はされているものの、たとえば『13 3月 15:01』という表示は『3月13日 15:01』にするべきでしょうし、最初の登録時の入力画面も、スマホでは画面からはみ出して入力できないという状況でした。
このあたりは、海外製らしい印象を持ちますが、改良を望みたいところです。
注意点
ブルーエアのシリーズは、やや高価なわりにはいわゆるセンサーでの自動運転はしません(ただ、個人的にはセンサーなしのほうが好みです)。
アプリで運転速度を変更したりは可能です(もちろん、直接のボタン操作も可能)。
総評
アプリの完成度以外は、十分使い勝手がよく、高性能の空気清浄機でした。

今日のまとめ!

 ✅ 喘息のコントロールが不十分で、PM2.5が高い環境では、HEPAフィルターによる空気清浄機が有効かもしれない。

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