以下、論文紹介と解説です。
Harnoss JC, et al. Hand antisepsis without decreasing efficacy by shortening the rub-in time of alcohol-based handrubs to 15 seconds. J Hosp Infect 2020; 104:419-24.
手指のアルコール消毒方法に関し、15秒群と30秒群にランダム化して細菌量とコンプライアンスを比較した。
背景
■ 新生児集中治療室(neonatal intensive care unit; NICU)の看護師を対象とした先行研究は、アルコールベースの手もみ( alcohol-based handrubs; ABHR)の抗菌効果は、手指消毒の頻度を30秒ではなく15秒にすることで有意に達成できることが示した。
■ 本研究では、婦人科病棟の低リスクの看護師を対象に、指先の微生物量とコンプライアンスを測定することで、15秒 vs 30秒の手指消毒効果を検討することを目的とした。
方法
■ 訓練を受けた観察者が、クロスオーバーデザインにより、勤務時間中の手指消毒の頻度とコンプライアンスを独立して観察した。
■ 細菌量を確認するために、親指を含む指先を勤務の開始時のABHR前に大豆スープで洗浄し、その後1時間ごとに洗浄した。
■ パフォーマンス活動は、Fulkersonスケールの汚染度に割り当てられた。
■ 昼休みの直前に、ボランティアは、15秒もしくは30秒のABHRにランダム化された。
結果
■ 指先の細菌量検査において、15秒と30秒のABHRで差はなかった。
■ 昼休み前の管理された手指消毒でも、どちらのグループでも効果に差は見られなかった。
■ また,15秒間の手指消毒群の実施率は、30秒間の手指消毒に比べて,手指消毒の実施率が高かった(P=0.2)。
■ コンプライアンスは15秒間のほうで54.7%から69.5%に増加した。
考察
■ 手指消毒時間を短縮しても有効性は低下しなかった。
■ 塗布時間を15秒に短縮することは、臨床現場での手指衛生コンプライアンスを向上させるための多様な介入戦略を成功させるための重要な要素の一つとして考慮されるべきである。
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アルコールによる手指消毒は、30秒はいらないかもしれない。しかし、回数はしっかりしたほうがよさそうだ。
■ WHOの手指アルコール消毒に関しては、20秒~30秒が推奨されています(石鹸+手洗いよりもアルコール消毒の方が簡便であり、有利な場面が多いとされている)。
■ そのアルコール消毒の実施時間を比較した報告になりますが、回数をきちんとこなせば15秒でもいいかもしれないという結果でした。
■ 短縮してよい、とまでは断言できないかもしれませんが、ひとつの参考になるかもしれませんので共有します。
今日のまとめ!
✅ アルコールによる手指消毒に関し、30秒法と15秒法での有意差は認められなかった。