以下、論文紹介と解説です。
Kimmitt P, Redway K. Evaluation of the potential for virus dispersal during hand drying: a comparison of three methods. Journal of applied microbiology 2016; 120:478-86.
MS2バクテリオファージの懸濁液で手を洗浄したうえで、ペーパータオル、温風乾燥機、ジェット乾燥機の手指乾燥方法のうち1種類で乾燥させ、周囲のウイルスの拡散を確認した。
目的
■ MS2バクテリオファージモデルを使用して、ペーパータオル( paper towel; PT)、温風乾燥機(warm air dryer; WAD)、ジェット乾燥機( jet air dryer; JAD)の3種類の手指乾燥方法について、使用中にウイルスを分散させたり環境を汚染する可能性について比較した。
バクテリオファージMS2(Wikipedia)
方法と結果
■ 参加者は、手袋をした手をMS2バクテリオファージの懸濁液で洗浄したうえで、手を3種類の手指乾燥方法のうち1種類で乾燥させた。
■ 各装置の周囲に存在するMS2量を、プラーク検査法を用いて測定した。
■ サンプルは、様々な高さと距離に置かれた検討株を含むプレートと空気中から収集された。
論文から引用。検査をしたプレート。
■ 0.15m~1.65mの高さにおいて、JADは、WADやPTと比較しそれぞれ平均60倍以上、1300倍以上のプラーク形成単位( plaque‐forming units; PFU)が散布していた(P < 0.0001)。
■ 3mまでのすべての距離で、JADはWADやPTに比べて、平均20倍以上、190倍以上のPFUが散布されていた(P < 0.01)。
論文から引用。PFUの散布程度の比較。
■ 使用した15分後に各装置周辺の空気サンプルを採取したところ、JADはWADおよびPTと比較して、それぞれ平均で50倍以上、100倍以上のPFUが散布されていた(P < 0.001)。
結論
■ JADの使用は、WADやPTと比較すると汚染された手からのMS2バクテリオファージを有意に多く、そして拡散させる可能性がある。
研究の意義と影響
■ 手指の乾燥器の選択は、医療現場や食品産業など、感染予防の懸念が最重要視される分野では慎重に検討する必要がある。
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エアタオルが本当に直接のリスクをもたらすかどうかは別のテーマになりそうですが、すくなくとも広範囲にウイルスを拡散していることにはなりそうです。
■ もちろん、散布されているから直接リスクがあるかに関してはまた別の話になりそうですが、エアタオル(ジェット乾燥機)は、すくなくとも広範囲にウイルスを拡散していることにはなるといえましょう。
■ ペーパータオルは資源を浪費する可能性もありますし、コストも関係します。
■ ですので、すべての場面でリプレイスするかどうかは状況に応じするでしょう。
■ しかし現在のように感染を広げる懸念がある場合は、エアタオルは使いにくいということとまとめられると思います。
今日のまとめ!
✅ エアタオル(ジェット乾燥機)は、かなり広範囲に菌を拡散させるようだ。