以下、論文紹介と解説です。

Rabie T, Curtis V. Handwashing and risk of respiratory infections: a quantitative systematic review. Tropical medicine & international health 2006; 11:258-67.

手指衛生による介入が、呼吸器感染症に及ぼす影響を報告している8研究における、メタアナリシスを実施した。

目的

■ 呼吸器感染症のリスクに対する手洗いの効果を調査する。

 

方法

■ PubMed、CAB Abstracts、Embase、Web of Science、Cochrane library を検索し、2004 年 6 月以前のすべての言語で発表された論文を検索し、すべての一次論文とレビュー論文のリファレンスリストを検索した。

■ 手指衛生を促進する介入が呼吸器感染症に及ぼす影響を報告している研究が、このレビューに含まれた。

■ 院内感染、長期療養施設、免疫不全者、高齢者に関する研究は除外した。

■ すべての研究を独立して評価し、コンセンサスに基づき、研究に含めるかどうかを決定した。

■ その結果、410件の一次リストから、8件の介入研究が適格基準を満たした。

 

結果

■ 対象となる8研究はすべて、手洗いによって呼吸器感染症のリスクが低下したと報告しており、リスクの低下幅は6%~44%だった[pooled value 24% (95%CI 6~40%)]。

7件の均質な研究のみの結果をプールすると、相対リスクは1.19(95%CI 1.12~1.26)であり、手洗いは呼吸器感染症のリスクを16%(95%CI 11~21%)減少させることができることが示唆された

論文から引用。手指衛生は、呼吸器感染症リスクを16%低下させる。

 

結論

■ 手洗いは呼吸器感染症のリスク低下と関連している。

■ しかし、研究の質は低く、発展途上国に関連したものはなく、重症患者を対象としたものは1件のみだった。

■ 急性呼吸器感染症の罹患率と死亡率に対する手洗いの影響についての厳密な試験が、特に発展途上国において緊急に必要とされている。

 

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手指衛生は、呼吸器感染症のリスクをさげるといえそうだ。

手洗いに関して、呼吸器感染症のリスクを少し下げるということといえそうです。

■ ただ、感染症の種類によっては思ったほどではない可能性はあり、たとえばインフルエンザに関してははっきりしなかったというメタアナリシスもあるようです(Epidemiology & Infection 2014; 142:922-32.)。

■ 感染症の標準予防策のうちのひとつが手洗いであって、それだけでは不十分であろうことは予想できますから、限界も意識しながらやはり手指衛生は続けていきたいですね。

 

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今日のまとめ!

 ✅ 手洗い(もしくは手指衛生)の励行は、呼吸器感染症のリスクを”少し”低下させる。

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